Research Press Release

【感染症】HIV-1感染が寛解した2番目の症例になるかもしれない

Nature

2019年3月5日

幹細胞移植後にHIV-1感染が寛解した2番目の患者の症例記録を報告する論文が、今週掲載される。この患者の寛解期間は18か月に達しているが、著者たちは、この患者のHIV-1感染が「治癒」したと判断するのは時期尚早だと、慎重な姿勢を示している。

これまでのところ、CCR5のΔ32変異を2コピー保有するドナーの造血幹細胞を移植して、HIV感染の治癒に至った症例記録は、過去に1例(「ベルリンの患者」)しかない。CCR5はHIV-1感染の共受容体で、CCR5の変異をホモ接合で有する者は、CCR5を利用するHIV-1の感染に抵抗性を示す。「ベルリンの患者」の症例は10年前だが、その際には、非常に積極的な治療が行われた。それ以降、この治療法による成功例は報告されていない。

今回、Ravindra Guptaたちの研究グループは、2012年に進行したホジキンリンパ腫と診断されたHIV-1患者の男性に対して、ベルリン症例ほど積極的ではない治療法が有効なことを実証した。このホジキンリンパ腫を治療するために、CCR5 Δ32対立遺伝子を2コピー保有するドナーの造血幹細胞を移植した。この患者の場合、幹細胞移植に対する反応は軽度なものにとどまった。Guptaたちの報告によれば、この患者は、移植後にCCR5 Δ32をホモ接合で有するようになり、抗レトロウイルス療法は、移植から16か月後に中断された。Guptaたちは、HIV-1のRNAが検出されなかったことを確認し、患者の寛解状態は、その後18か月間継続した。

以上の知見は、「ベルリンの患者」が例外的な症例でないことを実証し、CCR5を標的とする方法をHIV感染の寛解を達成するための戦略として開発すべきことをさらに裏付けている。

doi:10.1038/s41586-019-1027-4

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度