【海洋科学】海鳥の漂流行動が表層海流を解明する手掛かりに
Scientific Reports
2019年1月11日
鳥類が休息中に海面を浮遊する行動(漂流)の追跡調査が、表層海流と局地的な風の測定に利用できることを報告する論文が、今週掲載される。
今回Antonio Sanchez-Romanたちの研究グループは、海鳥種のオニミズナギドリ(Calonectris diomedea)にGPS装置を取り付けて、海洋表面の風と表層海流に関する情報を収集した。通常、こうしたデータは漂流ブイや、グライダー、高周波レーダーによって収集されて、人工衛星データを補完している。
全般的に言えば、オニミズナギドリの漂流時間は総活動時間の約10%に相当し、残りの90%は採餌旅行、摂餌、抱卵、およびヒナの養育に費やされていた。平均すると、オニミズナギドリが海面上で休息している時間は、1日に6時間以下だった。
今回の研究では、GPSで測定した75羽のオニミズナギドリの漂流軌跡405件が、人工衛星と海面ブイによって収集された風のパターンと表層海流のデータと比較された。405件のうち、126件(31%)は局地的な風の影響を受けた漂流軌跡、71件(18%)は表層海流の影響を受けた漂流軌跡だった。また、109件(27%)は風と表層海流の両方の影響を受けた漂流軌跡だった。Sanchez-Romanたちはこの情報を用いて、これらの漂流軌跡が、人工衛星と海面ブイによって収集されたデータに見られる特徴とおおむね一致していることを明らかにし、漂流する鳥類のGPSデータを用いれば、海流と局地的な風に関する海面レベルの情報が得られるという考えを示している。
doi:10.1038/s41598-018-36819-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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