Research Press Release
融ける氷冠
Nature Geoscience
2011年1月10日
2100年までに山岳氷河と氷冠は体積の15~27%が失われると予想されることが、今回明らかになった。領域によっては失われる氷の体積は75%に上り、その地域の水の利用可能性に潜在的な影響を及ぼす。
V RadicとR Hockは、世界中で2,638個の氷冠と120,229個の山岳氷河について、最新の10個の気候モデルで予想した気候変動に対する応答をシミュレーションした。これらの結果をすべての山岳氷河および氷冠を含む19の地域に対して拡大した。その結果、グリーンランドとアジアの高山地域では氷河体積減少は最小であり、ヨーロッパ・アルプスおよびニュージーランドでは現象が最大となることがわかった。
全球の氷河の損失による海水面上昇の見積もりは0.087 mと0.161 mの間にあり、これは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による予測幅とほぼ一致するものとなっている。
doi:10.1038/ngeo1052
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
