【植物科学】春季の気温上昇は必ずしも青々とした植生に結び付かない
Nature
2018年10月4日
北半球で春の到来が早まり、気温が上昇することによる植物の成長に対する恩恵が、季節的な水不足によって限定される可能性のあることを報告する論文が、今週掲載される。この新知見は、春季の温暖化が植物の生産力に及ぼす影響が、その後の夏季と秋季に遅れて現れることを明確に示している。
気候変動の結果として春の到来が早まり、気温が上昇したため、北方での生育期が長期化し、1年の早い時期に植物の生産力が高まった。一方で、その後の時期に植物の生育に対する遅延効果(好影響と悪影響の両方)が生じる可能性があることを示す証拠が見つかっているが、こうした傾向に関する現在の我々の理解は限られている。
今回、Wolfgang Buermannたちの研究グループは、植生の緑色度の衛星観測結果などさまざまなデータを分析し、北半球全体で植物の成長に対する時間遅れの好影響と悪効果に地域差があることを報告している。ユーラシアの北緯50度以北の地域(英国、スカンジナビア、ロシアの一部など)では、春の温暖化と植物の成長の間に正の相関関係が認められたが、北米の西部地域、シベリア、温暖な東アジアでは負の相関関係が認められた。Buermannたちは、標高と特に季節的降雨が、このような地域的な時間遅れを伴う成長パターンに強く影響していると考えており、北方での植物の成長を制限する重要な要因が気温と太陽光だとする学説に異論を唱えている。
Buermannたちは、季節的な水不足が蓄積すると、春季の温暖化に応じて植物の成長に地域的な時間遅れを伴う悪影響が及ぶ可能性があるという考えを示している。この点は、気候変動が植物の生産力に及ぼす影響をモデル化する上で考慮にいれなければならない重要な要因とされる。
doi:10.1038/s41586-018-0555-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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