深層学習診断の新次元
Nature Medicine
2018年8月14日
急性の神経学的事象や網膜疾患の3D医用画像に基づく正確で迅速な自動化診断が、新しい深層学習アルゴリズムによって実現する可能性が、2つの研究グループから報告された。
2D医用画像からのさまざまな病気の診断は、深層学習を使う手法によって可能になっているが、より複雑で詳細な3D画像からでも診断が行えるのかどうかは明らかになっていなかった。臨床医が行う多くの医学診断は、体積情報も含んだ画像に助けられている。3D画像によって診断を下せる深層学習アルゴリズムが構築されたことで、この技術は人間の専門家と同等な成績の達成へと一歩近づいた。
E Oermannたちは、3万7200例を超える頭部CT(コンピューター断層撮影)画像を新しい3D CNN(3D convolutional neural network:三次元たたみ込みニューラルネットワーク)法を使って解析した。この方法によって卒中や出血といった急性の神経学的事象の存在が正確に診断され、このシステムによって診断が加速される可能性があることが、臨床応用シミュレーションによって明らかになった。
一方、O Ronnebergerたちは深層学習システムを構築し、光干渉断層撮影(OCT)による目の走査画像を解析して、網膜疾患を95%の正確さで診断した。このシステムでは3D画像の領域分割と病気の診断とを分けて行うので、多様な画像化装置で得られた複雑な医用画像で正確なパフォーマンスが可能になっている。
これら2つの相補的研究では、3D医用画像の迅速な解析への深層学習アルゴリズムの適用が成功しており、このようなシステムを使って迅速で正確な診断を行うことで臨床業務の流れが改善されそうだ。
doi:10.1038/s41591-018-0107-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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