Research Press Release
受容体の細胞内での局在場所の変化が腫瘍発生を促す
Nature Cell Biology
2011年6月6日
Metという受容体に変異が生じて、この受容体の細胞内での局在場所が変わると、腫瘍の形成と拡がりが促進されることが報告された。したがって、Met変異体が細胞内に蓄積するのを阻害してやれば、ある種の腫瘍の治療法につながるかもしれない。 Metは主に細胞膜に存在している。だが、S Kermorgantたちはがんに関連して見られるMet変異体の1つは、細胞内の特別な構造に存在することを見いだした。この変異受容体を発現している細胞は腫瘍を形成することがあるのがわかり、このMet局在場所の変化ががんの発生と拡大を助けている可能性が示唆された。さらに、このような細胞はMet阻害剤に感受性を示さないが、腫瘍の形成はMetの細胞内局在を阻害する薬剤で防止されることもわかった。 今回の結果は、Metが細胞のどこに局在するかが、Metの腫瘍発生とその拡大を促進する性質の重要な部分であることを示している。Metの細胞内での「移送」を標的として阻害する化合物ならば、Metが引き起こすがんの一部に効果があると考えられる。
doi:10.1038/ncb2257
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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