米国カリフォルニア州で今後予想される異常気象
Nature Climate Change
2018年4月24日
米国で最も人口の多い州であるカリフォルニアの気候の今後に関して、干ばつと異常降雨・洪水の交互発生がもっと頻繁に起こるようになるという予測を示した論文が、今週掲載される。この研究結果は、カリフォルニア州の水関連インフラが継続的に直面する課題を浮き彫りにしている。
最近、カリフォルニア州では急激な水文学的変化が起こっている。2010~2016年には州全体が有史以来最悪の干ばつに襲われ、その一方で、2016~2017年の冬には豪雨と洪水で水浸しになり、その結果、オーロビルダムで災害が発生して約25万人の住民が避難を余儀なくされた。
今回、Daniel Swainたちの研究グループは、カリフォルニア州内でのこうした年々の異常乾燥と異常湿潤の急激な切り替わり[「降雨むち打ち事象(precipitation whiplash events)」と命名された]の発生頻度が、今後、人為的温暖化によってどのように変化するのかをモデル化した。Swainたちは、降雨むち打ち事象の発生頻度が21世紀末までに北カリフォルニアで25%高くなり、南カリフォルニアで最大100%高くなると予測している。このような変化の主たる原因は異常湿潤の増加であり、これは、すでに大きな州内の降水量の変動をさらに増幅する。こうした水循環の活発化によって、干ばつ時の水不足の軽減と豪雨時の洪水の防止の両面で、カリフォルニア州のインフラが強いプレッシャーを受けるようになると考えられる。
doi:10.1038/s41558-018-0140-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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