Research Press Release
「ちょうどよい」触媒を探す
Nature Chemistry
2011年6月13日
燃料電池や金属-空気電池向けの効果的な触媒の探索指針を示す設計原理がNature Chemistry(電子版)に報告されている。現在クリーンエネルギーデバイスは、白金やパラジウムなどの高コスト金属が用いられているため、幅広い利用が阻まれている。低コスト触媒を探索することによって、そうしたデバイスの普及が可能になるであろう。
Y Shao-Horn、H Gasteigerおよび共同研究者らは、ペロブスカイト型化合物と総称されるさまざまな酸化物化合物を研究し、マンガンまたはニッケルを含むペロブスカイト型化合物が最良の性能を示すことを発見した。彼らは、分子軌道法を利用することによって、触媒性能を決定する要因が2つあるという結論を出した。1つは特定の軌道に存在する電子の数であり、もう1つは金属原子と酸素原子の結合の程度である。これらの基準を指針として、費用効率が高く、電子の数と結合が「ちょうどよい」材料でできた最良の触媒を求めて探索が続けられている。
doi:10.1038/nchem.1069
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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