Research Press Release
効果的な森林保全のコスト計算
Nature Climate Change
2011年5月30日
森林破壊と森林劣化による二酸化炭素排出を削減することが、国際的気候政策「REDD+」の主要目標の1つとなっているが、これが達成されると、生活の糧を森林資源に依存する地域社会において、生活の糧を得る機会が失われる結果となりうる。今回、タンザニアの事例研究に基づく解析が行われ、地域住民の生活を守りつつ、森林を保全し、森林破壊の移転によるカーボンリーケージ(炭素の漏れ)を防止しうることが明らかになった。この結果を報告する論文が、Nature Climate Change(電子版)に掲載される。
この論文の中で、B Fisherらは、この方法によってREDD+を遂行すると、従来の試算(二酸化炭素1トン当たり約12ドル、約1000円)より高コストになるが、それでも他の緩和策よりはコスト競争力があるという見解を示している。また、Fisherらは、タンザニアでの森林破壊による炭素損失と炭素保持の機会費用を比較し、さらには、森林の農地への転換と木炭に対する需要を緩和するための実行コストを調べた。
このテーマに関連したL TacconiのNews & Viewsでは、Fisherらの研究が「REDD+の実施に関する科学研究と政策関連研究の新たな方向性を示すもの」だと評価されている。
doi:10.1038/nclimate1119
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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