Research Press Release
【地球科学】アマゾン川流域の干ばつによる森林火災が二酸化炭素排出量削減活動のブレーキに
Nature Communications
2018年2月14日
ブラジルのアマゾン川流域からの二酸化炭素排出の原因として大きな割合を占めるのが、森林伐採過程に直接関連する火災ではなく、極度の干ばつが起こっている時に発生する森林火災であることを明らかにした論文が、今週掲載される。この論文では、この地域での森林伐採による二酸化炭素排出量削減の成果が、21世紀になって繰り返し起こる干ばつによって損なわれている、という見解が示されている。
今回、Luiz Aragaoたちの研究グループは、人工衛星データと温室効果ガスインベントリーを用いて、ブラジルのアマゾン川流域における火災の発生とそれに関連した二酸化炭素排出量に対する干ばつの影響を2003~2015年について調べた。その結果、過去13年間に森林伐採率が76%低下したにもかかわらず、2015年の干ばつの際に火災の発生がそれ以前の12年間と比較して36%増加したことが明らかになった。Aragaoたちは、渇水年には森林火災による二酸化炭素排出量だけで、原生林伐採による二酸化炭素排出量の半分を超えていると推定している。
Aragaoたちは、開発政策のために用いられる二酸化炭素排出インベントリーでは、干ばつ関連の森林火災による二酸化炭素排出と森林伐採過程に関連する二酸化炭素排出を別個に考慮すべきだと主張している。
doi:10.1038/s41467-017-02771-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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