Research Press Release
【遺伝学】遺伝子発現パターンが死亡時刻の推定に役立つ可能性
Nature Communications
2018年2月14日
生物が死ぬと、体内のさまざまな組織において遺伝子の発現が変化するが、このことを利用して、その個体の死亡時刻を推定できることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究からは、容易に入手できる数点の組織(例えば、肺や皮膚の組織)を分析することで、死後経過時間を正確に決定でき、この方法が法医学的分析にとって重要な意味を持つ可能性が示唆されている。
今回、Roderic Guigoたちの研究グループは、ヒトの死後に起こる組織特異的な遺伝子発現の変化を解明するため、ヒトの剖検組織検体を収集するバイオリポジトリであるGTExプロジェクトで得られた36種類の組織のRNA塩基配列解読データを調べた。Guigoたちは、死後経過時間が遺伝子発現に影響を及ぼし、この影響が組織によって異なることを明らかにした。また、Guigoたちはモデルを構築して、組織特異的な遺伝子発現の変化を基にして死後経過時間を予測し、この新しい方法が現行の方法よりも優れている可能性があることを示した。
Guigoたちは、このモデルのさらなる最適化を図り、数種類の組織しか利用できない法医学的シナリオに適用できるようにして、法医病理学で実施できる可能性のあるプロトコルを考案している。
doi:10.1038/s41467-017-02772-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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