Research Press Release
【進化】中国の東部と西部では被子植物の進化史が異なっている
Nature
2018年2月1日
中国の東部と西部にはそれぞれ独自の進化史を有する被子植物種が生育していることを報告する論文が、今週掲載される。中国東部は起源の古い植物種が数多く存在する植物相の「博物館」であり、中国西部は最近になって分岐した植物種にとっての進化的「揺り籠」と考えられることが、この論文に示されている。
中国は全世界の被子植物の約10%が生育しており、起源の古い植物種にとっての隠れ家であると同時に、最近進化した植物種が急激に出現するための揺り籠でもあると考えられている。ところが、中国の被子植物相の主要な構成要素が集合して現在の植生になった時期と過程を詳しく調べる研究は行われていなかった。
今回、Zhi-Duan Chenたちの研究グループは、中国の被子植物相の92%について時空間的な分岐パターンを調べた。その結果、中国の被子植物の属の66%は、その起源が中新世の初期(約230万年前)以降であることが判明した。また、中国東部(中部と南部の一部の地域を含む)には、西部と比べて古い系統の植物種が生育する傾向があり、中国西部(乾燥した北西部と青海チベット高原を含む)には、それよりも最近になって分岐した被子植物種が生育していることが明らかになった。
doi:10.1038/nature25485
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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