【考古学】人類の進化に関する重要学説の再考を促す人工遺物がインドで出土
Nature
2018年2月1日
インドにいたヒト族が中期旧石器時代の文化を生み出したのは約38万5000年前で、これまで考えられていた年代よりかなり前だったという見解を示した研究論文が、今週掲載される。この新知見は、アフリカで誕生した初期人類が世界各地に拡散したとする従来の仮説の再検討を促すものとなる可能性がある。
ヒト族は、少なくとも170万年前にアフリカから世界各地に移動した際、アシュール文化に特徴的な技術である握斧(ハンドアックス)を持ち出した。当時の骨格材料が極めてまれなため、ユーラシアでの人類の進化は、道具類の変遷を通じて明らかにされてきた。今回、Shanti Pappuたちの研究グループは、インド南部のアッティランパッカム遺跡から出土した7000点以上の石器を調べ、アシュール文化の技術から中期旧石器時代の技法(例えば、ルバロワ文化独自の石を砕く技術)への移行を総合的に実証した。以上の新知見から、約38万5000年前のインドで中期旧石器時代の文化が生まれたことが示唆された。中期旧石器時代の文化は、これとほぼ同時代にアフリカとヨーロッパで発達したことが知られている。
ヨーロッパとアフリカ以外の地域で中期旧石器時代への移行を解明することは、ユーラシアにおけるヒト族の生活と時代、特にアフリカでの解剖学的な現生人類の出現とその後のアフリカからの移動に関する研究にとって極めて重要だ。今回の研究で得られた新知見は、現生人類がアフリカから移動して中期旧石器時代の技術を伝播させるはるか以前に、インドで本格的な中期旧石器時代の文化が存在していたことを示唆している。このことは、アフリカからの移動がこれまで考えられていた時期より前のことであったか、インドでの中期旧石器時代の発達に地域的な影響が関与していたのか、あるいはその両方であったことを暗示している可能性がある。
doi:10.1038/nature25444
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