Research Press Release
ポケットサイズの小型装置で、ヒトゲノム解読
Nature Biotechnology
2018年1月30日
ポケットサイズのナノポア装置を使って、ヒトゲノムの塩基配列を解読し、de novoアセンブリーを行った報告が今週掲載される。1種類のみの塩基配列解読技術を使ったヒトゲノムのアセンブリーとしては、これまでで最長のものである。
ヒトゲノムを理解し解釈することは、現代医学の基礎であり、できるだけ多くのゲノムを解読したいという要望は強い。しかしこれまで、そうした試みは、スピード、コスト、塩基配列解読装置が手元にないなどの原因のために困難と思われていた。塩基配列解読技術は改良されたものの、ヒトゲノムを迅速に、低価格で、高い精度・完成度で組み立てることは、いまだに難しい課題である。
Matthew Looseたちは、携帯型のナノポア塩基配列解読装置を使って、ヒトGM12878細胞株のゲノムの塩基配列解読とアセンブリーを行い、91.2 GBの塩基配列データを得た。最大882 KBにもなる非常に長いリードを用いることにより、ヒトゲノムの、これまで最新鋭の塩基配列解読手法でも処理しにくかった領域を解析することができ、これによって、ゲノムの構造変異体やエピジェネティック修飾を検出するとともに参照用ヒトゲノムGRCh38にあった12のギャップを埋めて、参照用ゲノムの精度を向上させた。
doi:10.1038/nbt.4060
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:チンパンジーはアンドロイドからのあくびがうつることがあるScientific Reports
-
気候変動:干ばつの深刻化を招く要因の評価Nature
-
生物学:母親の鉄欠乏がマウスの雄の性決定に影響を及ぼすNature
-
気候:海と大気の相互作用が2023年の北大西洋熱波をもたらしたNature
-
天文学:天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を回避できるかもしれないNature Astronomy
-
生体医工学:AIペンが筆跡からパーキンソン病を検出Nature Chemical Engineering