16世紀メキシコの壊滅的な伝染病はサルモネラ菌が原因と考えられる
Nature Ecology & Evolution
2018年1月16日
16世紀メキシコの伝染病による死亡者の歯からサルモネラ菌(Salmonella enterica)のゲノムが分離されたことが、今週報告される。その研究成果は、アメリカ大陸に関して知られている最初のサルモネラ菌発生例を示しているが、それはヨーロッパ人が持ち込んで壊滅的な影響を生じたものと考えられる。
感染症の原因となる病原体には、骨格の痕跡を残さないものが多いため、それを古人骨中から発見することは極めて困難である。Ashild Vageneたちは、ココリツトリ(現地のナワトル語で「致命的な伝染病」の意)の墓地に埋葬され、ヨーロッパ人と接触して間もなくのものとされている先住民10人の歯から、MALT(MEGAN Alignment Tool)という新しいスクリーニング技術を用いてサルモネラ菌のDNA塩基配列を見いだした。ココリツトリ伝染病の症状に関する古文書の記録から、これまでその大規模伝染病は腸チフス熱の類いによるものと主張されていた。今回S. enterica(チフスを引き起こす細菌)が見つかったことは、大規模伝染病の原因がチフスであったことを支持している。
中世の欧州に存在したことが知られているS. entericaに接触したことがなかった先住民集団は、感染に対して極めて脆弱であったと思われ、そのことはココリツトリの死亡率の高さを説明すると考えられる。このパターンは、最初の接触から数百年の間に新世界人と欧州人の間でさまざまな疾患(天然痘、インフルエンザ、麻疹など)が交換されてきたことに表れている。チフスと同様、そうした疾患の多くは骨格の痕跡を残さないが、今後、その一部を引き起こしたDNAウイルスや病原菌の発見に、この新たなMALT法が役立つ可能性があると期待される。
doi:10.1038/s41559-017-0446-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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