Research Press Release
肺の免疫センターを誘導
Nature Immunology
2011年6月13日
どのような仕組みで肺に誘導性の免疫組織が生じるのかについて、手がかりを発見したという報告が寄せられている。
慢性閉塞性肺疾患患者では、免疫細胞が密集してできたiBALTと呼ばれるクラスターが見られるのが普通である。このiBALTは、煤煙やタバコの煙などのような吸入アレルゲンや粒子に対する急激な免疫応答を促進し、また肺の慢性炎症を持続させ、組織の損傷を引き起こす可能性がある。
T Randallたちは、炎症刺激に曝された新生マウスでは、iBALT構造が非常に生じやすいことを明らかにした。この過程にはシグナル分子であるIL-17が不可欠で、これが特異的な化学誘引物質の発現を増加させ、iBALTの形成を引き起こす。こうして生じたiBALTは数か月も持続するが、これを持続させるのは、免疫系の別のシグナル分子リンホトキシンがかかわるIL-17とは無関係な経路である。
リンパ組織の異常な形成が関係している、慢性閉塞性肺疾患やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患の治療には、IL-17やリンホトキシンを阻害する方法が役に立つ可能性がある。
doi:10.1038/ni.2053
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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