神経科学:アルツハイマー病に関係するタンパク質凝集体の高分解能画像
Nature
2017年7月6日
アルツハイマー病患者の脳内に見られる、いわゆる「タウ繊維」の詳細な画像を発表する論文が、今週に掲載される。タウ繊維は、タウタンパク質の異常な凝集によって形成するが、いろいろなコンホメーションのタウ繊維が、さまざまな神経変性疾患の特徴になっていることが今回の研究で明らかになった。この新たに決定された分子構造は、アルツハイマー病におけるこれらのタンパク質集合体の役割に関する解明を進めるうえで役立つ可能性がある。
脳内におけるタウ繊維の異常な凝集体の存在は、神経変性と認知症に関連している。タウ繊維は、神経変性疾患の発生の仕組みを解明する手掛かりとなる可能性があり、神経変性疾患の治療薬の重要な標的となっている。ところが、分子構造を高分解能で解明できていないために神経変性におけるタウ繊維の役割の解明が遅れている。今回、Sjors Scheres、Michel Goedertたちの研究グループは、この問題点に取り組むため、アルツハイマー病の確定診断を受けた女性(74歳)の脳から採取したタウ繊維の初めての低温電子顕微鏡構造を示している。そこには、独特な対らせん状細繊維と直線状細繊維が詳細に示されており、脳内でこれらの繊維から凝集体が形成する理由を説明するうえで役立つ可能性がある。
こうした構造は、低温電子顕微鏡法という画像化技術によって決定された。この方法では、非常に低い温度で試料を観察して、患者由来の物質から得られたアミロイド繊維の特性を原子レベルで調べることができる。Scheresたちは、低温電子顕微鏡法がさまざまな種類の神経変性疾患の基盤となる分子機構の研究に新しい可能性を開くと考えている。
doi:10.1038/nature23002
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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