Research Press Release
新たな抗生物質として古い薬剤を
Nature Chemical Biology
2011年4月25日
既存の抗生物質に関して、ほかの非抗生剤と併用することによる新たな再生利用法が、Nature Chemical Biology(電子版)の論文で発表される。この知見により、既存の抗生物質は、新たな活躍の場を得る可能性がある。
細菌感染は、現在利用可能な薬剤への耐性が次第に高まっており、有害微生物を殺す新たな方法を発見することが重要性を増しつつある。
E Brown、G Wrightたちは、特にパーキンソン病、がん、および炎症性疾患という適応の治療に用いられる既存の薬剤に関して、抗生物質との併用を試験し、単独投与と比較して併用投与の有効性が高い例を求めた。その結果、複数の例で、非抗生剤が何らかの形で細菌細胞を弱体化させて、試験した抗生物質が細菌を殺すことができた。特に、イモジウムの名で下痢の治療薬として販売されているロペラミドは、正常な膜機能に干渉することにより、各種テトラサイクリン系抗生物質に対して細胞を「感作」する能力を持つことが明らかにされた。これは、ロペラミドには予想外の機能であった。
doi:10.1038/nchembio.559
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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