Research Press Release

汚染の影響を受けやすい古い地下水

Nature Geoscience

2017年4月25日

深部井戸により到達可能な地下水の大部分は古いが、現代の汚染を受けやすいとの報告が、今週のオンライン版に掲載される。 世界の地下水は世界中の何十億人もの飲み水と灌漑を提供している。このような地下水には年代が若く、汚染や気候変動による影響を受けやすいものがある。しかし、潜在的にはより多くの年代の古い地下水が、数千年以上にわたって地表下に保存されている可能性がある。古い地下水は持続的に採取することが難しいが、多くは気候変動から守られていて、人間活動による汚染の影響を受けにくいと広く考えられてきた。 Scott Jasechkoたちは地球上の6,000以上の井戸で得られた地下水の年代を決定した。彼らは12,000年以上保存された、いわゆる化石地下水は、地球の地殻上部1キロメートル中の帯水層全保存量の42~85%に相当し、250メートルより深い井戸からくみ出される地下水の大多数をなすことを見つけた。しかしながら、彼らは、分析した井戸の半分以上で、水素の放射性同位体であるトリチウムの痕跡を検出した。彼らは、トリチウムは1950年代に行われた核実験によって地球上に広がり、その存在は少なくとも井戸の中の地下水のいくつかが1950年代よりも後の年代を持つことを示しているので、このことは重要だと記している。 この発見は、井戸の化石地下水は、井戸の中かあるいは帯水層自体で、より若い年代の水とその水が運ぶ汚染物質と混合されたことを示唆している。著者たちは、古い地下水は何千年にもわたって循環するので、この重要な水資源の汚染は人類の時間スケールの間継続するとの結論を導き出している。

この研究はヨーロッパ地球科学連合総会の記者会見で4月25日(火)英国夏時間午前8時に発表される予定である。詳細の情報は[http://media.egu.eu/press-conferences-2017/#coastlines+water]に、記者会見の生中継は[http://client.cntv.at/egu2017/press-conference-3]で視聴できる。

doi:10.1038/ngeo2943

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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