Research Press Release
【社会科学】友人の影響でジョギングを始める
Nature Communications
2017年4月19日
エクササイズ(運動)に社会的伝染性があることを明らかにした論文が、今週掲載される。デジタル式のフィットネス追跡装置によって得られたデータと社会的ネットワークの分析を組み合わせた研究が行われ、個人のランニングの習慣がその友人のランニングの習慣に影響を及ぼすことが明らかになった。
健康関連習慣(例えば、肥満と喫煙)に伝染性があるという考えを持つ研究者がいるが、こうした社会的影響の存在を示す決定的な証拠は得られていない。今回、Sinan Aral、Christos Nicolaidesたちの研究グループは、約110万人の日常的な運動のパターンと地理的位置と社会的ネットワーク上の結びつきを記録にとった。この約110万人は、5年間に合計3億5000万キロメートルを走っていた。この研究グループの分析によれば、運動の伝染性は友人の間での相対的な活動量とジェンダー関係に依存しているとされる。もっと詳しく言うと、男性は男友達と女友達のランニングのパターンに影響されるが、女性は女友達からしか影響を受けないことが明らかになった。また、それほど活発でないランナーは活発なランナーに影響を与えるが、その逆はないという興味深い結果も得られた。
まとめると、今回の結果は、エクササイズが社会的伝染性を持ち得ることを示し、そうした健康的な行動に最も効果的に影響を及ぼす複数の関係を明らかにした。
doi:10.1038/ncomms14753
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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