Research Press Release
樹状細胞の活性化を止めるブレーキ分子
Nature Medicine
2011年12月15日
免疫細胞には天然のブレーキ分子が備わり、自己免疫性糖尿病を防いでいることがマウスでわかった。この知見により、免疫系が過剰な活性化と自己免疫を防ぐ仕組みの1つが明らかになった。
樹状細胞は免疫細胞の一種で、活性化されると獲得免疫応答の誘発に重要な役割を果たす。これまでの研究の大半は、樹状細胞の成熟、活性化、生存を促進する因子の同定に偏っていた。
P Ohashiたちは、炎症応答を制御する転写因子NF-κB1(核因子κB1)が未成熟樹状細胞で発現されていて、これを休止状態に保つ働きをしていることを明らかにした。NF-κBが欠失した樹状細胞は、活性化されて炎症誘発性サイトカインを放出し、T細胞免疫応答を誘発する。こうして活性化されたT細胞が膵島を攻撃して、マウスの自己免疫性糖尿病を引き起こすという。
doi:10.1038/nm.2556
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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