Research Press Release
インスリン抵抗性を調節するマイクロRNA
Nature Cell Biology
2011年3月28日
肥満マウスの肝臓でマイクロRNA-143(miR-143)の発現が亢進しており、miR-143の発現を阻害することによって肥満関連インスリン抵抗性を防止できることが明らかになった。インスリン抵抗性と2型糖尿病は、いずれも重大な公衆衛生問題であり、その原因と新たな治療介入法を特定することが重要な目標となっている。
今回J Bruningらは、糖尿病のマウスモデルと高脂肪食で飼育したマウスの肝臓で、miR-143が高発現していることを見いだした。そして、miR- 143の強制発現が、インスリン抵抗性を引き起こし、グルコース代謝障害に至ることを明らかにした。逆に、肥満マウスでmiR-143を欠乏させると、インスリン感受性が改善した。
さらにBruningらは、miR-143の標的を特定し、miR-143の発現によってインスリン抵抗性が起こるシグナル伝達経路を解明した。以上の知見から、グルコース恒常性を調節する興味深い経路と肥満関連インスリン抵抗性の治療法の開発における新たな標的候補が明らかになった。
doi:10.1038/ncb2211
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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