パン1個の環境コスト
Nature Plants
2017年2月28日
小麦の栽培からパン消費者への流通まで、パン1個の製造に関わる過程が環境に与える影響を分析した結果が、今週のオンライン版に掲載される。この研究は、パン製造過程による環境への影響の半分以上が使用する小麦の栽培に由来し、うち40%以上は硝酸アンモニウム肥料の使用のみが占めていることを明らかにしている。
Peter Hortonたちは、英国で製造される重さ800 gの全粒粉パン1個に対し、製造の全局面に着目してライフサイクルアセスメントの手法を用いた。研究チームは、パンおよび小麦粉のメーカー、ならびに大手農業サービス提供者と協力することにより、ほぼ全ての段階に関して直接的なデータを得ることができた。続いて、地球温暖化の可能性、淡水汚染、人間の健康に有害な毒素の生成など、環境に対する6カテゴリーの影響を評価した。その結果、サプライチェーン全体による地球温暖化の可能性は、パン1個当たりCO2 0.589 kgに相当することが分かった。研究チームは、有害な影響の半分以上を栽培が占め、そのなかで、単一の要素としては硝酸塩肥料の使用が最大であったことを明確に示した。
研究チームは、持続不可能な量の肥料を使用せずに高タンパクのパン小麦を高収量で得ることが21世紀の大きな課題になると指摘している。しかし、その体系の中では農薬の使用による環境への影響が評価されておらず、現状では持続可能な使用に対する有効なインセンティブが存在しない。
doi:10.1038/nplants.2017.12
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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