Research Press Release
疾患:糖尿病リスクを判定する手掛かりがエピゲノムに
Nature
2016年12月22日
細胞が遺伝子発現を制御する機構の1つであるDNAメチル化のパターンの変化を用いると、2型糖尿病の発症リスクの高い者を特定できるという研究報告が今週に掲載される。今回の研究結果は、2型糖尿病の予測と予防を行うための新たな方法の開発に役立つ可能性がある。
最近の研究では、特定の疾患の患者と対照のゲノムに見られる違いの特徴を解明するためにエピジェネティックな標識、特にDNAメチル化の役割を調べるようになっている。肥満は、2型糖尿病の主要なリスク因子であり、過去の研究で、肥満症の人々におけるDNAメチル化パターンの変化が明らかになっている。今回、John Chambersの研究チームは、ボディマス指数に関するエピゲノム全体にわたる関連解析を行い、ボディマス指数に関連したDNAメチル化が広範に変化していることを明らかにした。また、Chambersたちの前向き研究では、これらのDNAメチル化標識の存在が、ウエスト-ヒップ比、ボディマス指数といった従来のリスク因子とは独立して、2型糖尿病の発症を予測する強力な因子となっていることも判明した。
さらに、Chambersたちは、これらのDNAメチル化パターンの変化が肥満の原因ではなく結果なのであり、そうしたメチル化座位の一部が脂質代謝と炎症だけでなく、心血管疾患と呼吸器疾患に関係するとされてきたゲノム領域に位置していることを明らかにしている。
doi:10.1038/nature20784
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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