Research Press Release
植物の加熱調理には1万年の歴史がある
Nature Plants
2016年12月20日
今週のオンライン版に掲載される論文によれば、かつて緑のサバンナであったサハラでは、1万200年も昔の新石器時代人が野生の穀物や多葉植物、水生植物を土器で調理していたという。
人類史の中で、土器は約1万6,000年前の東アジアと、約1万2,000年前の北アフリカの2回にわたって互いに無関係に発明されたと考えられている。その土器について、牛乳などの動物産品の加工に利用されたことを示す証拠は存在するが、植物の料理で果たした役割は知られていなかった。
Richard Evershedたちは、リビアサハラのTakarkoriおよびUan Afuda遺跡から出土した合計110個の土器片を調べた。土器に残されている脂質付着物の炭素同位体比を分析した結果、その土器は、多葉植物、種子、穀物、および水生植物など、周辺の湖沼およびサバンナで採集された多様な植物の加工に利用されていたことが示された。
その土器は、この地域での植物の栽培化および農業に4000年以上先行することが分かった。研究チームは、前期完新世の狩猟採集民が当時の緑のサハラに存在した穀物などの野生植物によって食事の必要を充足させる上で、今回の知見によって想定された植物加工技術が極めて重要であった可能性があると結論付けている。
doi:10.1038/nplants.2016.194
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
