Research Press Release
材料科学:花開く形状変化材料の技術
Nature Communications
2016年9月28日
あらかじめプログラムすることで時間の経過とともに形状が変化する材料について記述した論文が、今週掲載される。この研究成果は、医療機器から薬物放出システムに至る自己制御材料の今後の作製方法に影響を与える可能性がある。
前世代の形状変化材料は、形状を変化させるために外部刺激(例えば、光、熱、pH値)を必要とした。これに対して、今回、Sergei Sheikoたちが設計した新しい形状変化材料の場合、引き金を必要とせず、それぞれの変化があらかじめ決められた時間(数秒後から数時間後まで)に起こる一連の形状変化を材料に符号化することができる。形状変化のプログラミングは、反作用力として働く2種類の結合(永久的な結合と一時的な結合)を材料に導入することによって行われる。永久的な結合には、この材料の最終的な形状が保存され、一時的な結合は、この最終的な形状に到達するための速度を制御する。この考えを実証するため、Sheikoたちは、花びらが1つ1つ徐々に開いていく人工の花を作製した。
このようにプログラムされた材料は、有益な医療用インプラントとなる可能性があり、折り畳んで、低侵襲手術で体内に挿入し、目的の部位に到達した後に必要な形状に展開し、あるいは手術を受けた患者とともに成長させることができると考えることができる。
doi:10.1038/ncomms12919
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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