Research Press Release

免疫グロブリン遺伝子のためにAIDを狙う

Nature Immunology

2010年11月29日

抗体分子をコードする免疫グロブリン(Ig)遺伝子が、他の遺伝子に比べて変異の標的になりやすい理由の手がかりが得られたとの報告が寄せられている。

Ig遺伝子は非常に多様性が高いが、この多様性をもたらすのは、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)とよばれる酵素が引き起こすプログラムされた変異過程である。AIDはIg遺伝子を選択的に標的とするが、他の遺伝子もAIDの働きで変異することがあり、この変異がB細胞リンパ腫などの癌の発生につながることが多い。

AIDの誘導が何に支配されているかを調べるため、R CasellasとM Nussenzweigは協力して、ゲノム全域のAID結合部位の位置を明らかにした。驚いたことに、AIDの結合には特に規則性や制限はなく、Ig遺伝子以外の何千もの活発に転写されている遺伝子に対しても、停止したRNAポリメラーゼ複合体があるとその部位に結合する。AIDによる「的外れな」変異は、これで説明できる。Ig遺伝子だけが、RPAという別の因子を引き寄せて複合体を形成し、これがIg遺伝子にみられる高頻度の変異に結びつくらしい。

doi:10.1038/ni.1964

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度