Research Press Release
古代海洋の酸素減少から示唆される火山活動
Nature Geoscience
2010年2月1日
9,450万年前に世界中の深海で起きた広範な酸素の消失は、火山から噴出した硫黄が引き金となって起きたとNature Geoscience(電子版)に発表される。
海洋無酸素事変(Ocean Anoxic Event 2;OAE2)として知られるこの事件の際に堆積した海洋堆積物を用いて、M Hurtgenたちは、通常は低いバックグラウンドの硫黄レベルが、この事件が始まったときに劇的に増加したことを発見した。硫黄は、有機物の循環に対して重要な要素であり、沈殿するプランクトンの体を分解することを助ける。研究チームは、利用できる硫黄の量が増加すると、それが連鎖反応の引き金となって、分解した有機物から放出された栄養素によってより多くの生物が海洋表層で成長できるようになったと示唆している。その死骸が沈むにつれて、それらは分解され、その過程で急激に酸素が消費された。連鎖反応は、広く分布した酸素の減少により硫黄鉱物である黄鉄鉱が発達するようになり、過剰な硫黄を消費するようになってやっと止まった。
硫酸塩は、その当時に起きていたと報告されている活発な火山活動により供給された可能性が最も高いことになる。
doi:10.1038/ngeo743
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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