意欲的な気候変動対策が米国に数十億ドルの健康効果をもたらす
Nature Climate Change
2016年2月23日
最近締結されたパリ協定と整合性のある電力政策と交通政策を米国で実施すれば、数十万人の早期死亡を防止し、数十億ドルを節約できるという研究結果を報告する論文が、今週、のオンライン版に掲載される。ただし、米国がこうした恩恵が得るためには、エネルギーと交通の両部門からの温室効果ガス排出量が現在の削減計画をかなり上回るレベルに達する必要のあることが今回の研究で指摘されている。
2015年12月に195か国が調印したパリ協定では、全球平均温度の上昇を産業革命以前と比べて摂氏2度未満に抑えるという目標が再確認された。
今回の研究で、Drew Shindellたちは、この国際的目標を達成するために策定されたクリーンエネルギー政策とクリーン交通政策を実施することによる米国の公衆衛生上の利益をモデル化した。Shindellたちは、交通による温室効果ガス排出量が75%削減され、エネルギー部門の温室効果ガス排出量が63%削減されるシナリオでシミュレーションを行った。その結果、以上の政策によって、粒子状物質、オゾンなど、健康を害する汚染物質の排出量が著しく削減される可能性があり、クリーンエネルギー政策とクリーン交通政策を実施すれば、これまで通り(BAU)のシナリオと比較して、2030年の時点で約295,000人(エネルギー政策によって175,000人、交通政策によって120,000人)が早期死亡を免れると考えられることが分かった。そして、Shindellたちは、こうした意欲的な政策を実施することによる利益が費用の最大10倍に達し、クリーンエネルギー政策が米国経済に最大8000億ドル(約88兆円)の利益をもたらし、クリーン交通政策が最大4000億ドル(約44兆円)の利益をもたらすと推定している。
doi:10.1038/nclimate2935
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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