Research Press Release
海洋深層への熱の取り込みが増えている
Nature Climate Change
2016年1月19日
海洋に吸収された熱の量(海洋貯熱量)は、工業時代に増加してきたが、そのおよそ半分が過去18年間の増加分であり、吸収された熱の約35%が水深700 mよりも深層に流入し、流入量の急増傾向が今も続いている、という研究結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。
今回、Peter Glecklerたちは、さまざまな情報源(19世紀の海洋調査船チャレンジャー号の探検航海、その後の船舶による観測、自律型フロートなど)から得たデータを用いて、1865~2015年の海洋貯熱量の推移を調べた。Glecklerたちは、これらのデータを3つの深度区分、つまり、表層(水深0~700 m)、中層(水深700~2,000 m)、深層(水深2,000 m超)に分けて解析した上で、気候モデルによるシミュレーションと観測結果を比較し、両者間の整合性を用いて、工業時代における変化を解釈した。
今回の研究では、海洋の全ての深度での温度情報が得られ、研究が不十分な海洋深層の解明を進めるために重要なデータがもたらされた。また、気候変動を監視する上で海洋モニタリングプログラムが大事なこともはっきりと示されている。
doi:10.1038/nclimate2915
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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