【気候変動】夜間の曇天でグリーンランド氷床の融解が増える
Nature Communications
2016年1月13日
グリーンランド氷床で夜間に雲が発生すると、融解水の流出が毎年30%以上増えるという結論を示した論文が、今週掲載される。この新知見は、気候モデルに雲の影響を正確に表現して、全球的海水準上昇に対するグリーンランド氷床の寄与度に関する将来予測の精度を高める必要のあることを明らかにしている。
グリーンランド氷床の融解は、近年の全球的海水準上昇の主たる要因となっている。この融解の程度を決定する要因の1つが上空の雲量で、これが、太陽からの入射放射量と氷床表面からの放射量に影響を及ぼす。しかし、同じ雲でも種類(例えば、氷だけの雲や液体を含んだ雲)によって、融解量に正反対の影響を及ぼすことがある。また、直接測定が行われておらず、気候モデルの違いもあって、それぞれの種類の雲が融解にどのように寄与するのかを正確に理解できていない。
今回、Kristof Van Trichtたちは、衛星リモートセンシングと地上観測、地域気候モデルを組み合わせて、グリーンランド氷床の表面全体における入出射エネルギーの収支に対する雲量の影響を定量化した。ここで、Van Trichtたちは、氷だけの雲も液体を含んだ雲も氷床表面からの放射量を抑制することでグリーンランド氷床の表面を暖めるが、この氷床表面の応答が予想に反していることを明らかにした。つまり、雲が日中の温度上昇を通して氷床表面の融解を直接増やすのではなく、雲の温暖化効果は夜間が最も強く、晴天シナリオに反して、雲の存在によって氷床表面上の水分の再凍結が抑制され、年間の融解水の流出が30%以上増えるのだ。
今回の研究では、グリーンランド氷床表面のエネルギー収支が雲量に対して非常に敏感であることが明らかになったが、氷床表面上の雪塊とその上空の大気との間の温暖化フィードバック効果が考慮されていない。雲の影響は、このフィードバック効果のために、もっと複雑なものとなっている可能性がある。
doi:10.1038/ncomms10266
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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