Research Press Release
一世紀の眠りから覚めた微小植物
Nature Communications
2011年5月18日
最大1世紀にわたって休眠を続けることのできる植物プランクトンの存在が明らかになり、このプランクトンの能力が、約6500万年前に発生した世界規模の大惨事の後における光合成の再開に役立った可能性が浮上した。この研究成果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。 今から6550万年前に地球に小惑星が衝突したとき、地球全体は暗闇に閉ざされ、光合成が崩壊し、種の大量絶滅が起こった。しかし、沿岸水域に生息していた植物プランクトン種は、回復力に富んでいたと考えられ、数多くの種類の植物プランクトンが生き残った。 今回、S Ribeiroらは、スウェーデンのフィヨルドで、海洋植物プランクトンの一種である渦鞭毛藻類の休眠中の嚢子を採取し、このプランクトンが、海底堆積物に埋没して約1世紀を経た後も増殖できることを明らかにした。 今回の研究成果は、小惑星が地球に衝突した後に、沿岸種が他の種よりも急速に回復し、その結果として、生物種の生息条件が回復した後の海での光合成の再開に役立った過程に関する手がかりとなる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms1314
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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