Research Press Release
トウモロコシとイネの登熟に必要なのはSWEET遺伝子
Nature Genetics
2015年11月3日
トウモロコシとイネの穀粒に糖を取り込む働きをする遺伝子が見つかった。この遺伝子は、野生種と栽培種の穀粒の大きさに顕著な差をもたらす可能性がある。
期農耕民は、トウモロコシやイネなどの穀物を収穫した際、栄養の豊富な大きい粒の種子を選択してきた。穀粒の大きさは、登熟(種子内へ糖が取り込まれる過程)によってほぼ決まる。登熟の異常は作物の低収量を引き起こすため、登熟過程の解析が作物育種の改善につながる可能性が期待される。
今回、Davide Sossoたちは、ZmSWEET4cというトウモロコシの遺伝子が登熟に必要なことを明らかにした。この研究では、トウモロコシの栽培種とその祖先の野生種の遺伝子配列の比較を行い、トウモロコシの栽培化の際に選択されてきたZmSWEET4c遺伝子の変異が同定された。そして、種子内の特殊な細胞障壁を介してヘキソース糖(グルコース、フルクトースなど)を輸送する分子がZmSWEET4c遺伝子にコードされていることも明らかにした。また、ZmSWEET4c遺伝子のオルソログであるイネのOsSWEET4遺伝子がイネの栽培化において選択されてきたことも判明した。Sossoたちは、こうした輸送体の発見はトウモロコシとイネの高収量品種の作出につながる可能性があると考えている。
doi:10.1038/ng.3422
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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