Research Press Release
慢性痛に性の格差
Nature Neuroscience
2015年6月30日
マウスでは慢性痛に関わる免疫細胞の種類が雌雄で異なるという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この知見がヒトにも適用されるなら、性別に合わせた慢性痛治療の調整が必要かもしれない。
動物モデルでは、脊髄にあるミクログリア(小膠細胞、免疫細胞の一種)の活性化が慢性痛の発生に重要な段階であるとするさまざまな系統の証拠が確立されている。Jeffrey Mogilたちは、マウスでミクログリアを失わせるか阻害するかすると、炎症性の痛みもしくは神経外傷による痛みを誘導した後での侵害刺激に対する応答閾値が増加することを確認した。
ただし、Mogilたちは、ミクログリアの関与は性特異的であることも発見している。雄でのミクログリア機能の減少は予想どおり痛みの減少という結果をもたらしたが、雌マウスでは痛み行動におよぼすいかなる影響も示さなかった。この性差は雄性ホルモンであるテストステロンの存在と関連しており、追加の実験で、雌マウスでの慢性痛の発生にはB細胞とT細胞という異なる免疫細胞がミクログリアの代わりに関与していることが明らかになった。今回の発見は、痛みの研究において雄マウスは雌の代用にできないことを示唆するもので、ミクログリアに付随する機能を標的とする鎮痛剤の臨床試験に影響を与える可能性がある。
doi:10.1038/nn.4053
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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