注目の論文

【スポーツ】サッカーワールドカップの公式ボールを解析する

Scientific Reports

2014年5月29日

Sport: Analysing the official ball for the World Cup

ブラジルで開催される2014年FIFAワールドカップの公式ボールは、飛翔軌道が安定しており、それが、多面体のボールを構成するパネルの形状と数のおかげであることが明らかになった。今回の研究では、さまざまなサッカーボールの解析が行われ、サッカーボールのパネルの特徴が、空中でのボールの飛び方に大きく影響していることが判明した。この結果を報告する論文が掲載される。

サッカーボールは、これまで合計32枚の五角形と六角形のパネルから作られていたが、最近開発されたボールは、32、14、8枚のパネルで作られ、その形状とデザインは、従来のものとは非常に大きく異なっている。最新のタイプのサッカーボールは、わずか6枚のパネルから作られており、2014年にブラジルで開催されるFIFAワールドカップに使用される。パネルの構成がボールの空力特性に及ぼす影響を調べた研究は少なかったが、今回、Sungchan Hongと淺井 武(あさい・たけし)が、このテーマに取り組んだ。

この研究では、風洞試験が行われ、パネルの向きと形状によってドラッグ(空気抵抗)が異なり、ドラッグが最も少ないのが6枚パネルのボールで、それよりわずかにドラッグが大きかったのが従来の32枚パネルのボールだったことが分かった。ロボットにサッカーボールを蹴らせる実験では、ボールの軌道がパネルの向きに大きく影響されるという観察結果が得られ、このことは、パネルの向きがボールの飛翔に著しい影響を与えることを示唆している。また、6枚パネルのボールと従来の32枚パネルのボールの飛翔軌道は、他のボールと比べて、比較的安定しており、規則性が見られた。

Hongと淺井は、サッカーボールに作用する空力学的な力に影響するその他の要因として、表面の凹凸と材質、接着方法、パネルの対称性などを指摘し、こうした特徴の影響についても今後の研究で明らかにしていく必要があるという見解を示している。

doi: 10.1038/srep05068

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