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音楽:クラシックとジャズの複雑さの「スケールダウン(簡素化)」

Scientific Reports

2026年4月24日

Music: Scaling back the complexity of classical and jazz

Scientific Reports

20世紀半ば以降、クラシックやジャズはより単純化し、均一化が進み、現在ではポップスやロックといったジャンルと複雑さの面で近づいていることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。著者らは、音楽のデジタル化により、アーティストが録音された音楽に容易にアクセスし、そこからインスピレーションを得られるようになったことが、さまざまなジャンルの楽曲制作に影響を与えている可能性があると指摘している。

これまでの研究では、近年、ポピュラー音楽の歌詞やメロディーが単純化していることが示唆されているが、クラシックやジャズといった歴史的に「複雑」とされるジャンルが同様に影響を受けているかどうかは、明らかになっていなかった。

Niccolò Di Marco(トゥーシア大学〔イタリア〕)、Walter Quattrociocchi(ローマ・ラ・サピエンツァ大学〔イタリア〕)らは、1600年から2021年の間に作曲された2万1480曲の楽曲と作曲のメロディーおよび和声を分析した。その結果、クラシック音楽の複雑さは1900年以前には増減を繰り返していたものの、20世紀をつうじて著しく低下したことが判明した。同様に、ジャズ作品の複雑さは1950年代と1960年代にピークを迎えたが、その後は低下した。全体として、20世紀初頭のクラシックやジャズの作品は、同世紀全体のポップ、ロック、エレクトロニック、およびヒップホップの楽曲よりも複雑であった。しかし、20世紀半ば以降、クラシックやジャズの楽曲の複雑さは、これらのほかのジャンルの楽曲により強く似るようになり、その構造や和声もより類似したものとなった。

著者らは、この調査結果が音楽的創造性の低下を意味するものではないと述べ、歌詞、制作手法、サウンドデザイン、および文化的背景といった音楽的複雑性を構成するほかの要素については評価していないと指摘している。著者らは、和声以外の音楽的特徴が、作詞や作曲における複雑さを表現する手段として、ますます用いられるようになっているのではないかと推測している。また、今後の研究では、メロディー、歌詞の内容、および拍子記号など、楽曲構造の多角的な側面を分析することで、この点をさらに探究できるとしている。

Di Marco, N., Loru, E., Galeazzi, A. et al. Decoding the evolution of melodic and harmonic structure of Western music through the lens of network science. Sci Rep 16, 11121 (2026). https://doi.org/10.1038/s41598-026-42872-7
 

doi: 10.1038/s41598-026-42872-7

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