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環境:地球規模の大気中マイクロプラスチック排出量の調査

Nature

2026年1月22日

Environment: Investigating global atmospheric microplastic emissions

Nature

陸域起源の大気中へのマイクロプラスチック排出量は、年間約60京(600 quadrillion;6×10の17乗)粒と推定され、これは、海洋からの排出量の20倍以上に相当するという世界的な分析を報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。一方、大気中のマイクロプラスチック濃度はこれまでの推定値より100分の1から1万分の1も低いことも判明した。著者らは、将来的なモニタリングや対策のために、世界的な排出量推定の精度向上が必要であると強調している。

マイクロプラスチックとは、1マイクロメートルから5ミリメートルのプラスチック粒子を指す。自動車のタイヤやブレーキの摩耗といった一次発生源から生じるほか、大型プラスチックの破砕によって形成され、大気、水、および土壌中に存在する。その大気循環は、いまだ十分に解明されておらず、測定データが乏しく手法も統一されていないため、排出量の推定は不確実性をともなう。

Ioanna Evangelou(ウィーン大学〔オーストリア〕)、Silvia Bucci、およびAndreas Stohl(ウィーン大学〔オーストリア〕)らは、2014年から2024年にかけて世界283地点で実施された76の研究から、大気中のマイクロプラスチック濃度および沈着量の測定値2,782件を収集した。そして、著者らはこれらをモデルシミュレーションと比較した。著者らは、陸上では立方メートルあたり0.08粒、海上では立方メートルあたり0.003粒という中央値濃度を確認したものの、モデル予測値はこれを2桁から4桁も過大評価していたことが判明した。スケーリング調整後、5~100マイクロメートルの粒子について、年間排出量は陸域から6.1×10の17乗(61京)、海洋から2.6×10の16乗(2.6京)と推定される。

著者らは、大気中に放出されるマイクロプラスチックはこれまで考えられていたよりも少なく、本研究はより優れた粒子径分布データおよび外洋での測定の必要性を明らかにしていると示唆している。ただし、観測範囲の狭さや質量と粒子数の変換における不確実性が研究の限界の一部であると指摘している。今後の研究では、排出量と粒子径分布を明確化し、より微小なマイクロプラスチックやナノプラスチックへの測定を拡大すべきである。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 12(つくる責任、つかう責任)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

Evangelou, I., Bucci, S. & Stohl, A. Atmospheric microplastic emissions from land and ocean. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-025-09998-6

doi: 10.1038/s41586-025-09998-6

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