工学:外圧に耐える空気注入式折り紙構造体
Nature
2021年4月22日
Engineering: Inflatable origami structures stand up to pressure
空気を注入して展開してから所定の場所に固定できるアーチやシェルターなどの構造体が、折り紙から着想した方法によって作製されたことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。今回の研究で、大型の折り紙構造体を工学に用いる道が開かれる可能性がある。
運搬するには十分にコンパクトだが、展開すれば大型の構造に変化する構造体は、エアキャッスル(城形のトランポリン)やシザースリフトなどのさまざまな用途に利用できる。展開中は比較的高い自律性を保持し、いったん展開されれば、それ以上の空気注入を必要としない設計が非常に望ましい。今回、Katia Bertoldiたちの研究チームは、日本の折り紙技術から着想を得て、空気を注入して膨らませれば自立式の展開構造物になる折り紙構造体を作製した。
Bertoldiたちは、(剛性を確保するために)統合された複数の三角形やたわみ継手のための要件など、空気注入式構造体の構築に必要な幾何学的パラメーターを明らかにした。これらの構造体は、空気を注入して展開してから所定の場所に固定でき、その後は空気注入を続ける必要はないが、真空ポンプを使って元のコンパクトな構造に戻すことができる。Bertoldiたちは、高さ60センチメートル、幅150センチメートルの空気注入式アーチを、高さ20センチメートル、幅30センチメートルの折り畳まれた構造から展開でき、また、2.5メートル×2.6メートル×2.6メートルのテント型シェルターを、1.0メートル×2.0メートル×0.25メートルサイズに折り畳めることを明らかにした。
同時掲載のNews & Viewsでは、Sigrid Adriaenssensが、今回報告された折り紙構造体は、「収納スペース、輸送コスト、組み立て時間の節約になり、自動ロック式空気注入システムを使うことで、簡単かつロバストな展開が可能になると考えられる」と述べている。しかしながら、Adriaenssensは、物体が大きくなると、圧縮応力や引張応力の変化や変形の影響を受けやすくなるため、さらに大きな折り紙構造体を構築するためには、いくつかの問題に対処する必要があると指摘している。
doi: 10.1038/s41586-021-03407-4
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