注目の論文
【惑星科学】木星のオーロラに予想外のエネルギー源
Nature
2017年9月7日
Planetary science: An unexpected power source for Jupiter’s aurora
木星のオーロラは、地球のオーロラと異なった挙動を示すことを報告する論文が、今週掲載される。木星のオーロラ放射は、地球のオーロラ放射よりかなり強いため、そのプロセスが地球の強いオーロラ放射の発生プロセスに似ていると考えられてきたが、そうではないことが、NASAの木星探査機「ジュノー」のミッションによる新たな観測結果から示唆されている。
地球のオーロラは、「南極光」、「北極光」とも呼ばれ、太陽からの荷電粒子が大気圏に進入する際の相互作用によって発生する。ここには2つのプロセスが関わっており、強いオーロラは、電子の加速によって発生し、弱いオーロラは、磁気的にトラップされた電子の散乱によって発生する。この電子加速のプロセスが、木星のオーロラ放射の原因機構だとする仮説が示されているが、ジュノーの当初の観測結果に、そうしたプロセスを示す証拠は見つかっていない。その後のジュノーによる上空からの観測では電子加速が検出されたが、その現象からは強いオーロラは得られないと考えられることが、このBarry Maukたちの論文で報告されている。むしろMaukたちの観測結果からは、木星のオーロラの発生プロセスが、地球の弱いオーロラの発生プロセスに似ていることが示されている。
今回の研究で得られた知見は、惑星とその宇宙環境との磁気的相互作用が惑星ごとにどれほど異なっているのかという点を洞察する際の手掛かりとなる。しかし、それぞれのプロセスの仕組みを解明するには、さらなるデータが必要となっている。
doi: 10.1038/nature23648
注目の論文
-
5月31日
生物工学:ヒトの健康状態の改善に使用できるかもしれない人工のウイルス様粒子Nature Communications
-
5月26日
化学:地球上での生命の起源の化学反応を促進したのは隕石粒子や火山性粒子だったかもしれないScientific Reports
-
5月24日
天文学:木星の稲妻と地球の稲妻の類似点Nature Communications
-
5月19日
工学:使用済み紙おむつを建材に再利用して低コスト住宅を建てるScientific Reports
-
5月11日
がん:個別化mRNAワクチンによる膵臓がんの治療に光明Nature
-
4月27日
天体物理学:超大質量ブラックホールの理解を深める新しい画像Nature