Volume 452 Number 7186

Editorials

科学技術に詳しく、先見の明があったSF作家アーサー・クラーク氏が亡くなったが、科学の未来に希望を抱き続けた氏の思いを大切にしたい。

1917–2008: A Space Optimist p.387

doi: 10.1038/452387a

科学に対する社会的な監視が重要性を増しているのに、マスコミの科学報道が減ってきているのは問題だ。

p.387

doi: 10.1038/452387b

幹細胞研究の激しい競争が繰り広げられているが、過熱して拙速に陥る恐れがある。

p.388

doi: 10.1038/452388a

News

英国工学物理研究会議(EPSRC)の助成の大幅削減で、物理学界に大きな影響が。

p.392

doi: 10.1038/452392a

SPECIAL REPORT 多くの両生類が、病気、気候変動、環境汚染のために絶滅の危機にあるが、飼育下繁殖で救うことはできるだろうか。

p.394

doi: 10.1038/452394a

新しく開発されたプログラムで、ノートパソコンが世界規模の地震観測ネットワークに。

p.397

doi: 10.1038/452397a

News Features

化学:光子捕捉装置

p.400

光合成機構を実験室で再構成し、効率を改善したいという化学者の長年の夢は、どの程度まで進んでいるのだろうか。

doi: 10.1038/452400a

生物多様性:凍れる未来

Frozen futures p.404

「地球最後の日のための種子貯蔵庫」が完成し、数年のうちに約150万種の作物の種子が集められる予定だが、絶滅は日々進行しており、保護対策は急務だ。

doi: 10.1038/452404a

幹細胞:iPS研究に駆け込み乗車する前に知っておきたい5つのこと

5 things to know before jumping on the iPS bandwagon p.406

人工多能性幹(iPS)細胞は、胚性幹細胞とそっくりだが作りやすく、深刻な倫理問題もないため世界中から注目されている。

doi: 10.1038/452406a

News & Views

触媒反応:化学における負け犬の勝利

p.415

兎と亀の寓話では、のろまな亀が足の速い兎と競争して勝ちを収める。亜鉛触媒は、この話の再現といったもので、反応性の低い化学基が競争相手の基を超える速度を発揮するのだ。

doi: 10.1038/452415a

概日リズム:決まったリズムで行われる幹細胞輸送

p.416

脳の概日リズムに従う活動は、血液幹細胞の骨髄からの出入りを制御している。この過程はおそらく、このような細胞が新しい場所、つまり再建中の骨に適合するかどうかを吟味しているのだ。

doi: 10.1038/452416a

天文学:近くと遠くの爆発的星形成

p.417

極めて明るい星形成銀河で近傍宇宙にあるものと遠方宇宙にあるもの両方の観測では、一見、両者の類似性が強調されるようにみえる。しかし、ちょっと詳しい観測を行えば、著しい違いが浮かび上がってくる。

doi: 10.1038/452417a

ナノエレクトロニクス:炭素のスピンの意外な性質

p.419

スピントロニクスは、電子の電荷ではなく、「スピン」の方を活用するエレクトロニクスの新分野である。カーボンナノチューブでは、電子のスピンと軌道運動との結合が、量子情報制御の望ましい方法となるかもしれない。

doi: 10.1038/452419a

神経科学:数の力

p.420

脳は情報を保存するために、ニューロン間の情報伝達を行うシナプスを調節している。この問題を詳しく調べたところ、シナプス群からの入力に応じた細胞内変化が、この過程を促進しているらしいことがわかってきた。

doi: 10.1038/452420a

分析化学:自分で作るマイクロ流体デバイス

p.421

中古の卓上型プロッターには、どのような使い道があるだろうか。想像力豊かな使用例の1つは、濾紙の上に有機ポリマーをプリントできるようにすることだ。そうすれば、安上がりで有効なマイクロ流体デバイスを作ることができる。

doi: 10.1038/452421a

追悼:Joshua Lederberg氏(1925-2008)

p.422

細菌遺伝学において数々の重要な発見を行ったLederberg氏が亡くなられた。ご冥福を祈りたい。

doi: 10.1038/452422a

Articles

遺伝:遺伝子発現の遺伝学と疾患に対するその影響

Genetics of gene expression and its effect on disease p.423

doi: 10.1038/nature06758

遺伝:疾患を引き起こす分子ネットワークをDNAの変異から解明する

Variations in DNA elucidate molecular networks that cause disease p.429

doi: 10.1038/nature06757

脳:ニューロンにおける樹状突起区画ごとの可塑性と入力性質の保存

Compartmentalized dendritic plasticity and input feature storage in neurons p.436

doi: 10.1038/nature06725

生理:造血幹細胞の放出は、概日振動によって制御される

Haematopoietic stem cell release is regulated by circadian oscillations p.442

doi: 10.1038/nature06685

Letters

物理:カーボンナノチューブにおける電子のスピンと軌道運動の結合

Coupling of spin and orbital motion of electrons in carbon nanotubes p.448

doi: 10.1038/nature06822

化学:プロリン触媒によるアセトアルデヒドのマンニッヒ反応

Proline-catalysed Mannich reactions of acetaldehyde p.453

doi: 10.1038/nature06740

古気候:原生代の海洋における段階的酸素化の追跡

Tracing the stepwise oxygenation of the Proterozoic ocean p.456

doi: 10.1038/nature06811

地球:北大西洋大陸境界における下部地殻への貫入

Lower-crustal intrusion on the North Atlantic continental margin p.460

doi: 10.1038/nature06687

進化:遺伝子効果の多面発現性スケーリングと「複雑さのコスト」

Pleiotropic scaling of gene effects and the 'cost of complexity' p.470

doi: 10.1038/nature06756

神経:ショウジョウバエのフェロモンcVAは性的二形性を示す神経回路を活性化する

The Drosophila pheromone cVA activates a sexually dimorphic neural circuit p.473

doi: 10.1038/nature06808

視覚:上向きの動きに応答する網膜細胞群の分子同定

Molecular identification of a retinal cell type that responds to upward motion p.478

doi: 10.1038/nature06739

植物:二酸化炭素(CO2)調節因子SLAC1とそのホモログタンパク質は植物細胞における陰イオンホメオスタシスに不可欠である

CO2 regulator SLAC1 and its homologues are essential for anion homeostasis in plant cells p.483

doi: 10.1038/nature06720

植物:SLAC1は気孔のシグナル伝達において植物孔辺細胞S-タイプ陰イオンチャネル機能に不可欠である

SLAC1 is required for plant guard cell S-type anion channel function in stomatal signalling p.487

doi: 10.1038/nature06608

細胞:SIRT6はヒストンH3リシン9デアセチラーゼで、テロメアのクロマチンを修飾する

SIRT6 is a histone H3 lysine 9 deacetylase that modulates telomeric chromatin p.492

doi: 10.1038/nature06736

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