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進化:遺伝子効果の多面発現性スケーリングと「複雑さのコスト」

Nature 452, 7186 doi: 10.1038/nature06756

ダーウィンが気付いていたように、目や飛翔装置などのように多数の遺伝形質が協調して働いてできる複雑な構造については、変異と選択の過程による進化適応の解明が難しい。一般的に、変異は同時に複数の表現形質に影響し、この現象は多面発現性とよばれる。多面発現性が進化に及ぼす影響については、何十年も形式的解析の対象になっており、一部の研究者からは、多面発現性は進化的前進を遅らせる可能性があることが示唆されている(いわゆる「複雑さのコスト(cost of complexity)」)。さまざまな現象の要因を多面発現性に帰する妥当性は、各変異によってどのくらいの数の形質が影響を受けるか、また、各遺伝子の置換によって影響される形質数と個々の形質に現れる変異の影響の大きさとの相関の解明にかかっている。今回我々は、骨格特性に影響する量的形質遺伝子座(QTL)を用いてマウスでの多面発現性について調べ、QTLの大半は比較的少数の形質に影響を与えること、QTLに生じた1つの置換がそれぞれの形質に及ぼす影響は、影響を受ける形質の総数が多いほど大きくなることを明らかにした。この結果は、ほとんどの変異はごく少数の形質にしか影響せず、しかもその効果は多面発現性に伴って減少しないので、高等生物の進化は「複雑さのコスト」を負わないことを示唆している。

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