Letter

物理:カーボンナノチューブにおける電子のスピンと軌道運動の結合

Nature 452, 7186 doi: 10.1038/nature06822

電子は、原子ではスピン自由度と軌道自由度の両方をもつ。非相対論的量子力学では、これらの自由度は独立であるため、原子スペクトルは一般に縮退する。しかし、相対論的効果によってスピンと軌道運動は結合し、その結果、よく知られた微細構造がスペクトル中に生じる。欠陥がないカーボンナノチューブは、スピン対称性と軌道対称性が独立で、電子-正孔対称性があるため、電子状態は四重縮退していると一般的に考えられている。本論文では、清浄なナノチューブでは、電子のスピンと軌道運動が結合し、したがって、これら対称性がすべて破れることを示す測定結果を報告する。このスピン-軌道結合は、超清浄な量子ドットにおける単一電子の四重縮退の分裂として直接観測された。この結合によって、電子では軌道とスピンの磁気モーメントが互いに平行にそろい、正孔は反平行にそろうような傾向がみられる。最近の複数の理論では、湾曲したグラフェンにスピン-軌道結合の存在が予測されており、これはナノチューブのスピンに依存するトポロジー位相として記述されるが、我々の測定結果はそれらの理論と一致する。今回の結果は、炭素を基にした系のスピンを用いる応用に重要なかかわりをもつものであり、ナノチューブでの量子ビット(キュービット)を実現するには新しい設計原理が必要となるが、ナノチューブにおけるスピンの全電気的制御のメカニズムが得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度