Article 遺伝:疾患を引き起こす分子ネットワークをDNAの変異から解明する 2008年3月27日 Nature 452, 7186 doi: 10.1038/nature06757 疾患感受性を高めるDNA変異の同定は、順遺伝学的手法を用いた遺伝学研究における主要な目的の1つである。しかし、こうした研究による疾患感受性遺伝子の同定では、遺伝子が疾患を引き起こす機序については限られた機能的情報しかえられない。実際、ほとんどの例で機能に関する情報全体が欠如しているため、感受性遺伝子を明確に同定するのは困難である。本論文では、従来の順遺伝学的手法に代わるものとして、多因子疾患形質の詳細な解析を目的とした方法を開発したので報告する。この方法では、DNAの変異によって直接的影響を受ける感受性遺伝子を同定するのではなく、感受性遺伝子座によって撹乱されたために疾患を引き起こす遺伝子ネットワークを同定する。分離型系統マウスの集団から得た肝臓と脂肪の遺伝子発現データにこの方法を適用したところ、マクロファージに富むネットワークが同定された。このネットワークはメタボリックシンドロームに関係する疾患形質と因果関係があることがわかっている。このネットワークの3種類の遺伝子、lipoprotein lipase(Lpl)、lactamase β(Lactb)およびprotein-phosphatase 1-like(Ppm1l)は、これまで知られていなかった肥満遺伝子であることが確認され、このネットワークと代謝性疾患形質との関連が強まった。今回の解析から、肥満などの複合形質は、複雑な遺伝子座および環境的要因によって調節される分子ネットワークの創発特性であることが、実験によって直接裏付けられた。 Full Text PDF 目次へ戻る