Letter 植物:SLAC1は気孔のシグナル伝達において植物孔辺細胞S-タイプ陰イオンチャネル機能に不可欠である 2008年3月27日 Nature 452, 7186 doi: 10.1038/nature06608 植物葉の表皮にあり、2個の孔辺細胞によって囲まれている気孔は、蒸発による水分喪失と引き換えに大気中の二酸化炭素を取り込む働きをしている。気孔はオゾンの侵入も制限する。オゾンは重要な大気汚染物質で、作物の生産量に与える悪影響が次第に強まっており、その結果全球的な炭素固定や気候変化にも悪影響が及んでいる。気孔の開口度は、孔辺細胞膜を通過する浸透圧調節にかかわるイオンや代謝物の輸送により調節される。植物の水分喪失、オゾン感受性、および二酸化炭素供給の制御に孔辺細胞が極めて重要な役割を果たしているにもかかわらず、気孔の動きの主要な制御因子をコードする遺伝子はまだ同定されていない。孔辺細胞の陰イオンチャネルは気孔閉鎖の重要な制御因子として機能し、また、生理的およびストレス刺激に対する気孔応答にも不可欠であると考えられている。しかし、孔辺細胞の陰イオン輸送を仲介する細胞膜タンパク質をコードする遺伝子は、いまだに同定されていない。今回我々は、オゾン感受性シロイズナズナ(Arabidopsis thaliana)の変異が生じているslac1のマッピングとその特性について報告する。SLAC1(SLOW ANION CHANNEL-ASSOCIATED 1)は孔辺細胞に選択的に発現し、真菌や細菌のジカルボン酸/リンゴ酸輸送タンパク質の遠縁のホモログをコードしている。細胞膜タンパク質SLAC1は、二酸化炭素、アブシジン酸、オゾン、明暗移行、湿度変化、カルシウムイオン、過酸化水素、および一酸化窒素に応答して起こる気孔閉鎖に必須である。SLAC1の変異は、細胞質のCa2+とアブシジン酸によって活性化される遅い(S-タイプ)陰イオンチャネル電流に異常をもたらすが、迅速な(R-タイプ)陰イオンチャネル電流やCa2+チャネルの機能には影響を与えない。SLAC1は、細菌や真菌の有機酸輸送タンパク質との相同性が低く、またS-タイプ陰イオンチャネルはリンゴ酸に透過性を示すことから、SLAC1はS-タイプ陰イオンチャネルの機能に極めて重要な役割をもつと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る