The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

共振器QEDにおける強く結合した光と原子と分子のスープ

Nature 596 2021年8月26日

小西秀樹(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)たちは今回、強く相互作用するフェルミ気体の原子対の光会合共鳴に、共振器の光子を直接結合させたことを報告している。強い光–物質間相互作用と粒子間相互作用を混合させると、光子と原子対と二原子分子がコヒーレントに混合した混成励起、すなわちペアポラリトンが生成される。著者たちは、この対相互作用を光学スペクトルにマッピングして、多体効果がエネルギーに関して2桁増幅することを報告している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03731-9

2

トラップされた陽子の共同冷却

Nature 596 2021年8月26日

今回M Bohmanたちは、電磁気的にトラップされた単一の陽子を、空間的に隔てられたトラップに蓄積されレーザー冷却されたBe+イオン雲と結合させることによって、周囲温度を下回る温度に共同冷却している。この結合は超伝導LC回路を通して実現されており、今回の手法は、クーロン力を介した直接的な相互作用による冷却を避けることで、反物質研究に応用できる可能性がある。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03784-w

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02267-2

3

液体水における水素結合の強化の観察

Nature 596 2021年8月26日

液体水の特異な性質の多くを支配する水素結合ネットワークは、それを構成する水分子の振動運動に依存している。超高速分光法は、水の振動に関する知識の向上に大きく寄与してきたが、振動に関与する運動を直接観測することはできない。J Yangたちは今回、液体水のOH伸縮振動の励起時に原子がどのように動くかを、フェムト秒時間分解能と原子空間分解能で明らかにした電子散乱測定の結果を報告している。液体が緩和して平衡に達する前に、水素結合が最初に過渡的に収縮することが観測された。この水素結合の収縮は、水素結合中の共有プロトンを量子力学的に扱った場合にのみ計算可能で、励起されたOH伸長が緩和する前の水の振動の分子間的性質を反映している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03793-9

4

炭素貯蔵庫としてのアフリカの熱帯山地林

Nature 596 2021年8月26日

アフリカの熱帯山地林に貯蔵されている炭素の量は、いまだによく分かっていない。今回A Cuni-Sanchezたちは、アフリカの12か国の44に及ぶ山地調査地の森林ネットワークから得られたデータを提示している。ネットワーク調査地の生木の地上バイオマスの炭素貯蔵量は、アフリカの低地林のプロットネットワークのものに匹敵し、IPCCのアフリカのそうした森林に関するデフォルト値より3分の2多いことが見いだされた。この知見は、生物が多様で炭素量の多いこうした生態系の保全の必要性を浮き彫りにしている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03728-4

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02266-3

5

ウォーレシアの人骨から得られた古代ゲノムDNA

Nature 596 2021年8月26日

東南アジアは考古学的および古ゲノム学的記録が乏しく、この地域におけるヒト集団史の解明はなかなか進んでいない。今回A Brummたちは、インドネシア・南スラウェシ州のLeang Panninge鍾乳洞で発見された女性の骨格について行った、DNAのゲノム解析結果を報告している。この女性の骨は新石器時代以前のToaleanの埋葬跡から発見されたもので、年代は約7200年前と推定された。錐体骨から抽出したDNAから得られたゲノム規模のデータによって、このLeang Panningeの女性が属していた集団が、現代の東アジア人集団よりも近オセアニア集団に近縁であること、そして、その独特な祖先構成は現在世界のどこにも見られないことが明らかになった。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03823-6

6

コンピューター科学が市民議会の公平な代表性を保証する

Nature 596 2021年8月26日

政治の問題に市民議会(無作為に選出された構成員からなるパネル)が提言を行う例が増えつつある。しかし、こうした議会の出す結果が集団を代表する民主的なものであるためには、パネルそのものが適切に選出されなければならない。今回A Procacciaたちは、そうした議会の参加者を適切に選出することができるアルゴリズムを報告し、それが世界各地でどのように実装されているかを示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03788-6

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02006-7

7

母性行動の社会的伝達

Nature 596 2021年8月26日

オキシトシンは社会的行動の発現に多くの役割を担っているが、中でも重要なものの1つは、母性行動の発現を促すことである。しかし、オキシトシンシグナル伝達が、母性行動の開始を促すために必要な大脳皮質の可塑性を促進する機構については分かっていない。R Froemkeたちは今回、母マウスおよびその産仔と同居させた未交尾雌では、母マウスに仔の保護への参加を求められたときに、オキシトシンニューロンが活性化することを明らかにしている。経験を積んだ母マウスが、未交尾雌に対して営巣行動や仔マウスの回収行動を実演することで、これらの母親による仔の保護行動が未交尾雌へと伝達され、この伝達は未交尾雌での内因性オキシトシンの分泌を介して起こる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03814-7

8

VITT抗体によって認識されるPF4エピトープ

Nature 596 2021年8月26日

ワクチン誘発性免疫性血栓性血小板減少症(VITT)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンに特異的で、まれだが重度の有害事象である。この論文では、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対するアストラゼネカ社のCOVID-19ワクチン(ChAdOx1 nCoV-19)を接種し、その後VITTと診断された5人の血清中の抗体によって認識されるエピトープが明らかにされている。このエピトープは、活性化した血小板から放出されるサイトカインである血小板第4因子(PF4)上のヘパリン結合部位に相当する。著者たちは、これらのワクチンによって誘導された抗PF4抗体が、ヘパリン起因性血小板減少症の患者における抗PF4抗体よりもPF4やPF4–ヘパリン複合体に対してより強力な結合反応を起こすことを示し、これがFcγRIIa依存性の血小板の活性化を増強し、その結果、凝固が起こる原因となり得ることを示唆している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03744-4

9

STINGのリガンド非依存的な活性化を防ぐNPC1の役割

Nature 596 2021年8月26日

リソソームタンパク質であるNPC1(Niemann–Pick type C1)はコレステロールの排出に関与しており、変異すると、ニーマン・ピック病C型の原因遺伝子の1つとなる。N Yanたちは今回、NPC1がSTINGトラフィッキングのコファクターであることを明らかにしている。NPC1の喪失によってSTINGのリソソームでの分解が障害され、また、NPC1の欠損によって、SREBP2が関与する機構を介してSTINGのゴルジへの移行が促進されることも分かった。両方の影響が組み合わさると、リガンド非依存的なSTINGの持続的な活性化が起こり、有害なI型インターフェロン応答につながって、神経炎症や病変が引き起こされる。Npc1−/−マウスモデルにおいて、Irf3(インターフェロン調節因子3をコードする)あるいはSting1(STINGをコードする)を欠失させると、疾患の進行が軽減することが示された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03762-2

10

がん細胞の持続生残現象の追跡

Nature 596 2021年8月26日

今回、J BruggeとA Regevたちは、単一細胞追跡システムを用いて、治療中と治療後のがん細胞の増殖、系譜、転写状態について特性解析を行っている。これらの特性を統合することで、持続生残現象の原因となる代謝適応などの細胞プログラムが明らかになり、がん細胞が非遺伝的再プログラム化によって治療圧を乗り越え、増殖を再開する仕組みについての手掛かりが得られた。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03796-6

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-02117-1

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