The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

反復する高速電波バーストの2例目の位置特定

Nature 577 2020年1月9日

高速電波バーストは、銀河系外からの1ミリ秒程度持続する明るい電波閃光である。高速電波バーストのいくつかは、反復することが分かっており、そのうち1つは不規則矮小銀河に位置が特定されている。今回B Marcoteたちは、別の反復するバーストの位置を、近傍の渦巻銀河の星形成領域に特定したことを報告している。著者たちは、反復する高速電波バーストは光度の範囲が広く、多様な環境に由来している可能性があると結論付けている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1866-z

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-03894-6

2

アモルファス2D材料

Nature 577 2020年1月9日

固体内部の原子は、極めて規則正しく配列して結晶を形成することが多いが、規則性を持たないアモルファス(非晶質)材料を形成することもある。バルクのアモルファス材料は、幅広い応用に用いられているが、研究が難しいため、原子スケールの構造はよく分かっていない。今回B Özyilmazたちは、アモルファス材料を二次元という極限にまで薄くし、単層アモルファスカーボンを合成した。原子分解能の画像化法を用いて原子構造を直接決定することによって、単層アモルファスカーボンには長距離秩序が全くなく、よく知られているサッカリアセンの連続ランダムネットワークモデルに合致せず、競合する結晶モデルに似た構造をとることが示された。さらに、この自立単層アモルファスカーボンは驚くほどの安定性と意外な特性を示すため、類のない応用につながる可能性がある。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1871-2

3

プロトンを使ってグラフェン膜の皺を伸ばす

Nature 577 2020年1月9日

グラフェンはその特性が特異なため、さまざまな応用に魅力的であるが、高品質グラフェンの大規模合成が難しいため、開発が妨げられている。化学気相成長法は、大面積のグラフェン膜を成長させる魅力的な方法の1つであるが、皺が存在するため物理特性や化学特性が低下し、グラファイトから機械的に剥離した小さな剥片より性能が大幅に劣ることが多い。今回L Gaoたちはプロトンを利用してグラフェンを下地の基板から分離する成長法を実証し、皺の数を著しく減らしている。このプロトン侵入法は、極めて平坦なグラフェン膜の成長に利用できるだけでなく、他の材料のひずみを調整する方法をもたらす可能性がある。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1870-3

4

ひずませて安定化させる

Nature 577 2020年1月9日

ハイブリッドペロブスカイトは、さまざまな光電子デバイスに用いられる材料群である。しかし、光電子特性が最も優れたペロブスカイト材料のいくつかは、温度、湿度、光に対して最も不安定でもある。今回S Xuたちは、α-FAPbI3膜の格子不整合基板として混合カチオンハイブリッドペロブスカイトを成長させることによって、α-FAPbI3膜内のひずみ勾配を調整可能にする方法を報告している。化学的なヘテロエピタキシャル薄膜成長法によって、準安定α-FAPbI3相を安定化させると同時に、最大2.4%のひずみを印加することが可能になった。全く安定化させなかった場合、この相は相転移に対して1日しか安定でないのに対して、ひずみを印加した系の場合、数百日間にわたって安定であることも示された。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-03918-1

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1868-x

5

自律的に維持される捕食者–被食者サイクル

Nature 577 2020年1月9日

捕食者–被食者サイクルは生態学において最も基本的な概念の1つだが、特徴的な位相関係を持つ循環的な動態が数周期の振動を超えて持続し得ることを示す実験的証拠はこれまで得られていない。今回B Blasiusたちは、水生群集(浮遊性の輪形動物とその被食者である単細胞性の緑藻類からなる)における実験で、こうした限界を大きく上回る約50サイクル(捕食者の約300世代に相当し、被食者についても少なくとも同等の世代数に相当する)にわたって続く振動を観察したことを報告している。律動的な栄養供給という外的強制は、強制を加えない実験で観察されたのと同じ位相関係を持つ持続性の循環的動態につながった。今回の知見は、確率論的な事象に際して復元力を示す循環的な動的領域において捕食者集団と被食者集団とが永続的に共存し得る可能性を示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1857-0

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-03603-3

6

探索者の脳

Nature 577 2020年1月9日

J Liたちは今回、トラッキング顕微鏡技術を使って、自由遊泳するゼブラフィッシュ幼生が生きた餌を追う際の個々の細胞の活動を全脳的にモニタリングした。その結果、ゼブラフィッシュは2つの行動状態を交互に示すことが分かった。移動運動を抑えて小さく局所的な泳跡で捕食を行う消費状態と、捕食を抑えて長い泳跡で移動する探索状態である。著者たちは、行動状態と状態間の遷移を符号化する細胞亜集団を明らかにした。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1858-z

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-019-03811-x

7

宿主の中にバリケードを築いてファージDNAを囲い込む

Nature 577 2020年1月9日

ファージは増殖のために宿主細菌が必要であり、宿主内では抗ファージ系の標的となるのを防止するために防御手段を使っていることが多い。以前の研究で、細菌細胞内に核に類似した特殊な構造があって、ファージの複製はここに区画化されていることが報告されている。J Bondy-Denomyたちは今回、この構造が、制限酵素やCRISPR–Casタンパク質などのDNAを標的とするヌクレアーゼからファージDNAを守るのにも使われていることを明らかにした。ジャンボファージΦKZが緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に感染すると、タンパク質性の核類似区画が形成され、これが制限エンドヌクレアーゼやCas酵素による分解からファージゲノムを保護する機能を果たすことが分かった。このファージ区画は今のところ、シュードモナス属(Pseudomonas)の細菌種に感染するジャンボファージの間でだけ報告されているが、これは宿主の防御機構を回避するためのもっと広範囲に使われている戦略なのではないかと、著者たちは考えている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1786-y

8

社会的行動の調節における全身性炎症の役割

Nature 577 2020年1月9日

自閉症スペクトラム障害の患者では、発熱によって行動症状が一見改善するという事例観察があり、G Choiたちは今回、それについての動物モデルの作製と特性解析に焦点を合わせている。この報告では、母体免疫活性化マウスモデルを用いて、炎症によって誘導される社会性の救済には、IL-17とIFNγが必要であることを実証している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1843-6

9

潰瘍性大腸炎における炎症遺伝子の変異

Nature 577 2020年1月9日

佐藤俊朗(慶應義塾大学)たちは今回、慢性炎症性疾患である潰瘍性大腸炎の患者の腸上皮における遺伝的変異を特定したことを報告している。炎症性のIL-17シグナル伝達経路に関与する遺伝子群に、新規変異が集中して見つかった。これらの変異によって、細胞は炎症条件下で選択的に増殖に有利になり、IL-17を介した細胞死応答に選択的に抵抗性になると考えられる。潰瘍性大腸炎の患者は大腸がんを発症する傾向があるが、IL-17経路の構成要素の変異は大腸腫瘍では見られないようである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1844-5

10

正常組織と炎症が関わる腫瘍組織におけるクローン選択パターン

Nature 577 2020年1月9日

慢性炎症では組織の損傷と修復が繰り返され、、これが体細胞変異を持つクローンの増殖を引き起こし、組織の再構築や機能不全を駆動する。慢性炎症はがんの大きなリスクの1つだが、生理学的に正常な組織でも加齢に伴って広範な組織再構築が起こる。小川誠司(京都大学)たちは今回、全エキソーム塩基配列を解読し、潰瘍性大腸炎の患者の組織において、炎症に関連する複数の新規変異を見いだした。これらの変異は、炎症性IL-17シグナル伝達経路に関わる遺伝子サブセットの周囲に集中しており、IL-17シグナル伝達を抑制する変異が正の選択を受けていた。これらの変異は大腸がん組織には存在しないようであり、著者たちは、これらの変異が形質転換の過程で負の選択を受けると考えている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-019-1856-1

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