The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

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ファンデルワールスヘテロ構造を巻物状に巻く

Nature 591 2021年3月18日

原子レベルの薄さの異なる二次元材料を積層してファンデルワールスヘテロ構造を作製することによって、非常に面白い光学特性や電子特性を有する多種多様なデザイナー材料が実現すると期待されている。2~3層だけからなるヘテロ構造の作製は、ある程度容易だが、これを超える多層構造の作製は難しい。今回B Zhaoたちは、より複雑な構造を作製する単純だが柔軟な手法を報告している。彼らは、2層または3層の積層系から出発し、注意深く選択した液体にこれらの積層構造をさらしたときにかかる毛管力によって、積層構造が自発的に巻物状に巻かれることを示している。得られた巻物状材料の内部の層状構造は、既存の作製法では達成困難なレベルの複雑さに達していた。今回の手法は、さまざまな出発物質に容易に適合させることができる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03338-0

2

米国本土の河川の3分の2が地下の帯水層に水を失っている可能性

Nature 591 2021年3月18日

水文学では長年、河川がその下の帯水層系の地下水と相互作用していることが知られている。いわゆる「失水河川」は帯水層の涵養に役立っているが、「得水河川」は帯水層と直接接触しているため、流量が増加する。今回S Jasechkoたちは、米国本土全域の河川の水位とその近隣の数百万本の井戸の水位を比較し、約3分の2の事例で地下水位が河川の水位より低いことを見いだしている。今回の手法では、地下水の流量は解明できないが、その結果は、河川水が地下水系に流出している可能性が広範に及ぶことを立証している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03311-x

3

海洋トランスフォーム断層の三次元的性質

Nature 591 2021年3月18日

プレートテクトニクスでは、海洋トランスフォーム断層が、リソスフェアが形成されることも破壊されることもない保存型の二次元横ずれ境界であると理想化されている。今回I Grevemeyerたちは、一連の海洋トランスフォーム断層とそれらに隣接する断裂帯で得られた高分解能のマルチビーム海底地形データをまとめた結果を提示し、トランスフォーム構造谷が、隣接する断裂帯より系統的に、予想外に深いことを見いだしている。海嶺とトランスフォーム断層の交点における付加は極めて非対称的であると思われ、交点の外側の角では、起伏がより小さくてより広範な火山活動が見られるのに対し、内側の角では、深い節状の海盆があり、マグマが欠乏しているようである。著者たちは3D数値モデルを用いて、こうした特徴が、トランスフォーム変形帯内部の塑性せん断破壊によってプレート境界が深部で次第に斜め方向のせん断帯になることで、説明できることを示している。これは、トランスフォーム断層系における付加が二段階過程であることを意味しており、大洋中央海嶺に沿った他の場所とは根本的に異なる。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00639-2

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03278-9

4

ヤツメウナギ類のアンモシーテスは比較的最近出現した

Nature 591 2021年3月18日

ヤツメウナギ類のアンモシーテスは、脊椎動物の祖先の名残と考えられている。しかし、宮下哲人(カナダ自然博物館ほか)たちが今回報告している新たな化石証拠からは、最古のヤツメウナギ類が、現生ヤツメウナギ類の成体をそのまま小さくしたような姿で孵化していたことが明らかになった。これは、アンモシーテスが、より最近になって進化した形態である可能性を示唆している。この知見は、捕食性の脊椎動物が濾過摂食性の祖先から進化したとする脊椎動物の進化モデルの文脈において重要である。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03305-9

5

古代DNAでたどる東アジア人の集団史

Nature 591 2021年3月18日

古代東アジア人の利用可能なDNAデータは、これまで限定的だった。今回D Reichたちは、台湾、モンゴル、チベット、中国など、東アジア各地の古代人および現代人から得られた、大規模なゲノム規模のデータセットを報告している。このデータセットを既存のデータセットと統合して解析した結果、モンゴルおよびアムール川流域、黄河流域、台湾など、さまざまな地域での集団の移動が詳細に推測された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03336-2

6

皮質と線条体の関係の部位対応性

Nature 591 2021年3月18日

大脳皮質と線条体は共に、複数の感覚・運動・認知機能と関連しているが、活動が一方から他方へと移動する際にどのように変化するかは不明である。M Caradiniたちは今回、マウスにおいて大規模な画像化と活動記録を用い、皮質の活動と背側線条体の活動の間に因果的で部位対応的な関係があることを明らかにするとともに、さまざまな行動において皮質活動から線条体活動を予測できることを示している。これらの知見は、線条体活動が皮質活動の整合的で因果的な部位対応的マッピングを反映しているとする結論を支持し、行動の基盤にある回路構成の理論に制約を与えている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03166-8

7

機械力が幹細胞ニッチを維持する

Nature 591 2021年3月18日

造血幹細胞や造血系の前駆細胞は主に骨髄に見られ、骨髄の個別の細胞ニッチ内に存在している。これらのニッチのアイデンティティーやニッチが維持される仕組みは、まだ完全には分かっていない。S Morrisonたちは今回、リンパ球系共通前駆細胞(CLP)のニッチとして機能していて、最終的には細菌感染に対する免疫応答を支える、骨髄の細動脈周囲間質細胞のサブセットを明らかにしている。特筆すべきことに、このニッチは、機械的刺激に応答することが分かった。例えばマウスでは、自発走運動によって、ニッチの維持に続いてCLPの維持が促進される。この研究は、幹細胞ニッチが機械的に調節され得ることを示す証拠を提示するとともに、骨髄内の造血ニッチについての我々の理解を深めるものである。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00419-y

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03298-5

8

硝酸の消費を伴う呼吸

Nature 591 2021年3月18日

ミトコンドリアは、約20億年前に、現代の真核細胞の前駆細胞がアルファプロテオバクテリア綱の細菌を飲み込んだことから生じたもので、好気性呼吸によるATPの生成を担っている。絶対嫌気性原生生物の場合、ミトコンドリアの派生器官(ヒドロジェノソームとして知られる)がピルビン酸発酵と水素生成によりエネルギーを産生する、という別の機構が進化したと考えられている。J Grafたちは今回、予想外の展開により、嫌気性繊毛虫宿主において、呼吸脱窒経路を介してATPを生成する絶対内部共生体(「Candidatus Azoamicus ciliaticola」)を発見した。この発見から、ミトコンドリアとは完全に独立したATP生成の機構が示唆され、また、ミトコンドリアの派生器官を持つ真核生物が、そのミトコンドリアの機能を補完または置換するために、エネルギーを供給する内部共生体を獲得している可能性が示された。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00500-6

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03297-6

9

ヒト化マウスにおけるSARS-CoV-2の複製と抑制

Nature 591 2021年3月18日

V Garciaたちは、ヒト肺組織を移植した免疫不全マウスを使って、コウモリコロナウイルスが事前の適応を必要とせずにヒト組織で複製できることを実証している。彼らはこのモデルを用いて、ヒト肺組織での重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染についても解析し、広域スペクトルの抗ウイルス薬であるEIDD-2801の経口投与は、治療としても予防としても、ウイルス複製を効率よく抑制することを示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03312-w

10

ミトコンドリアDNA切断の細胞による感知

Nature 591 2021年3月18日

核でのDNA二本鎖切断が細胞にとって極めて有害なのと同様に、ミトコンドリアゲノムの二本鎖切断は、ミトコンドリアの機能を壊滅させることがある。A Sfeirたちは今回、細胞内の他の区画がミトコンドリアの二本鎖切断を感知するかどうかを調べ、核と細胞質の両方がミトコンドリアDNAの切断を感知することを明らかにしている。ミトコンドリアの損傷はミトコンドリアRNAの漏出を引き起こし、細胞質で免疫RNAセンサーがこれを感知する。さらに、ミトコンドリアDNAがない細胞では、核DNAの損傷による強力なインターフェロン応答誘発が起きない。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-021-00429-w

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-021-03269-w

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