The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

モデルに基づく強化学習

Nature 588 2020年12月24日

チェッカー、チェス、囲碁、ポーカーなど、古典的なゲームで人間の世界チャンピオンを打ち負かした人工知能アルゴリズムは、ツリーベースの計画法を使っていた。計画アルゴリズムは、特定の領域では成功を収めているものの、ゲームのルールといった環境の力学についての知識に依存しており、これが、通常そうした力学が未知であるロボティクスや知的アシスタントなどの実世界領域への直接応用の妨げとなっている。今回D Silverたちは、MuZeroという、ツリーベースの探索と学習済みモデルを組み合わせた、モデルに基づく強化学習アルゴリズムを報告している。MuZeroアルゴリズムは、難易度が高く視覚的に複雑なさまざまな領域において、背景にある力学に関する知識を用いずに、超人的な性能を達成した。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03051-4

2

グラフェンにおける強相関トポロジカル相

Nature 588 2020年12月24日

結晶材料ではさまざまなトポロジカル相が観測されており、知られている例の1つが量子ホール効果である。しかし、こうしたトポロジカル相の強い電子–電子相互作用からの出現はまれで、その大半は高磁場の存在下で実現されたものである。今回A Yazdaniたちは、魔法角ねじれ2層グラフェンにおいて、低磁場下の強相関トポロジカル相を報告している。これらの強相関トポロジカル相は、さまざまなチャーン数(量子ホール領域に生じる無散逸エッジチャネルの量を与える)によって特徴付けられる。今回の結果は、超伝導の原因であるモアレグラフェン内の強相関が、トポロジカルに非自明な相ももたらし得ることを実証するものである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-3028-8

3

トポロジカル・プラズモニック渦

Nature 588 2020年12月24日

スキルミオンやメロンは、明確なトポロジカル・スピンテクスチャーを持つ、磁性材料中の安定準粒子である。最近、これらの準粒子に類似した準粒子が、分極渦を示す強誘電体において実現された。今回H Petekたちは、構造化された銀膜に光を照射することによって励起される、トポロジカル・プラズモニック・スピンテクスチャーを報告している。彼らは、このプラズモニック渦の発展を画像化し、準粒子がフェムト秒の時間スケールとナノメートルの長さスケールで存在することを示している。こうした比較的長い時間スケールによって、プラズモニック場のトポロジカル特性を他の材料の電子励起に転写できる可能性がある。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-3030-1

4

二色技術を用いる3Dボリューメトリック印刷

Nature 588 2020年12月24日

3D印刷は、靴のパーツから航空宇宙用部品や人工臓器までさまざまな物体の製造に、かつてないほど広く利用されている。光を使った製造プロセスの駆動は、高度な空間的・時間的制御が可能なため、特に成功している。3D印刷の機能をさらに進化させるために、層ごとの印刷から真のボリューメトリック(体積)印刷への移行に重点を置いた取り組みがなされている。今回S Hechtたちは、光スイッチング可能な光開始剤と交差光ビームによって、限られた体積内部で重合を誘起させる、xolographyという技術について報告している。今回の手法は、現行の最先端のボリューメトリック印刷法を用いた場合と比較して、より高い精細度と速い印刷速度で目的の3D物体を生成することから、3D印刷で効果的に生成可能な物体の範囲がさらに拡大されるはずである。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-03543-3

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-3029-7

5

タイの河川魚類の多様性、密度、生物量を育む草の根保護区

Nature 588 2020年12月24日

禁漁保護区は海洋生態系ベースの漁業管理の基礎となっており、そうした保護区が隣接する漁場にもたらす利益は、複数の近隣保護区間の相乗作用を育むような保護区の設計において最大となる。こうした海洋保護区ネットワークの手法を、河川の生物多様性や内水面漁業に応用できるかどうかは、ほとんど検証されていない。今回A Koningたちは、タイ北部のサルウィン川流域に設定された地域社会ベースの小規模な保護区のネットワークが、そうした保護区での魚類の種の豊富さ、密度、生物量を著しく増大させたことを明らかにしている。得られた知見は、世界の河川がかつてない圧力にさらされている現状において、地域社会が支える保護区のネットワークが生物多様性を保護して漁獲量を増大させる一般化可能なモデルとなることを示唆している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-03316-y

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2944-y

6

膀胱アセンブロイドから得られた膀胱がんについての手掛かり

Nature 588 2020年12月24日

in vitroで作られた組織は、in vivoの組織が持つ複雑性を欠いていることが多く、そのため、特に疾患のモデル化への応用が制限されている。今回K Shinたちは、多層の尿路上皮、繊維芽細胞と内皮細胞の間質、外側の筋肉層からなる膀胱アセンブロイド(assembloid)を作製した。このアセンブロイドは、器官の構成と生理学的性質を再現している。著者たちはまた、がん患者由来の細胞を用いて、腫瘍膀胱アセンブロイドを作製し、尿路上皮がんの発病機序についての手掛かりを示している。この研究は、膀胱の生理やがんを研究するための独特なモデルを提供するものである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-3034-x

7

培養皿におけるヒト遠位肺とSARS-CoV-2感染のモデル化

Nature 588 2020年12月24日

ヒト肺についての我々の理解は、特に成人ヒト遠位肺の適切なin vitroモデルがないために限られている。今回C Kuoたちは、長期培養が可能なヒト遠位肺オルガノイドの開発について報告している。彼らはこれらオルガノイドを使って、基底細胞の中に前駆細胞活性が亢進した新たな集団を特定した。また、これらのオルガノイドを使って、H1N1インフルエンザウイルスや重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染をモデル化できることも示された。この研究は、ヒト肺の生理や疾患を研究するための重要な新しいモデルを提供するものである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-3014-1

8

革新的なマルチプレックス技術を用いた微生物相のマッピング

Nature 588 2020年12月24日

体内や環境中の微生物群集は、一般に多様性が高くて見事な時空間的動態を示し、種間、そして宿主と環境の間の生態学的相互作用に影響を及ぼす。しかし、技術的な限界があるため、これらの群集の空間動態を調べるのは難しかった。I De Vlaminckたちは今回、複雑な群集の数百種の微生物を識別してその位置を空間的にマッピングするための、2進バーコーディングと高度なスペクトル画像化を基盤とする汎用的手法について報告している。彼らは、HiPR-FISH(high-phylogenetic-resolution microbiome mapping by fluorescence in situ hybridization)と名付けたこの方法を用いて、抗生物質投与後のマウス腸内微生物相の構造の変化を調べ、ヒト口腔歯垢マイクロバイオームの細菌群集の構造が長期的に安定であることを明らかにした。この技術は、幅広い状況での微生物の単一細胞空間マッピングに変革をもたらす可能性がある。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-03315-z

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2983-4

9

SARS-CoV-2スパイク三量体、もしくはRBDと複合体を形成したCOVID-19患者由来中和抗体の構造

Nature 588 2020年12月24日

P Bjorkmanたちは今回、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を標的とするヒト中和抗体の8つの新しい構造を決定し、これらを4つのクラスに分類している。この分類は、RBDが「上向き」のコンホメーションであることが必要かどうか、またACE2結合面が重なり合うかどうかに基づいている。抗体の1つは、RBDを「下向き」のコンホメーションに固定し、そのエピトープには下向きのコンホメーションをとる近接した2つのRBDからの残基が含まれていた。スパイクタンパク質の活性化が膜融合を進める機構は解明されていないため、こうした抗体は他の抗体よりも臨床での使用に適しているかもしれない。RBDを上向きに維持するような抗体は、そうすることでACE2による活性化の影響を模擬する可能性があり、場合によってはさらに深刻な症状を引き起こしかねないからである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2852-1

10

ミトコンドリアDNAの転写の阻害剤

Nature 588 2020年12月24日

腫瘍細胞が迅速な増殖を持続するためにはミトコンドリアの代謝が完全に機能する必要があり、腫瘍細胞は酸化的リン酸化(OXPHOS)への依存度が高い。今回N Larssonたちは、ヒトミトコンドリアRNAポリメラーゼ(POLRMT)を標的とする、複数の小分子ミトコンドリアDNA転写阻害剤を開発した。これらの阻害剤はミトコンドリアDNAの転写を障害し、マウスモデルでOXPHOSと腫瘍の増殖を阻害するが、正常組織には影響を及ぼさない。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-03048-z

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