The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

二次元モアレ超格子における電子相関の量子シミュレーション

Nature 579 2020年3月19日

物質における強い電子相関によって、非従来型超伝導が生じる可能性がある。昨年、ねじれ2層グラフェンにおいてそうした相関状態が発見されてから、二次元モアレ超格子での強い電子相関が集中的に研究されている。格子上で相互作用する量子粒子に関するハバードモデルは、強相関系を記述する最も単純だが理論的に解くことのできないモデルの1つである。今回K Makたちは、遷移金属ジカルコゲニド・ヘテロ構造によって形成されたモアレ超格子において、二次元三角格子ハバードモデルを実現している。彼らは、電荷キャリア密度を増大させると弱い強磁性状態へ変化する、反強磁性挙動を示すモット絶縁体状態を観測した。今回の結果は、ハバードモデルや強相関物理の量子シミュレーション向けに新しい固体プラットフォームを提示するものである。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2085-3

2

二次元モアレ超格子における一般化されたウィグナー結晶

Nature 579 2020年3月19日

物質における強い電子相関は、非従来型超伝導を生み出す可能性があり、ねじれ2層グラフェンにおいて相関状態が昨年発見されてから、二次元モアレ超格子において集中的に研究されている。電子密度が低い場合、強い相互作用によって、まれにしか観測されないウィグナー結晶という量子電子結晶が形成されることがある。今回F Wangたちは、半導体遷移金属ジカルコゲニド・モアレ超格子における相関絶縁体モット相と一般化されたウィグナー相を検出したことについて報告している。彼らは、光学的手法を用いてこうした絶縁体相における電気的特性と励起スピン状態を調べた。遷移金属ジカルコゲニドは大きなスピン–軌道結合と半導体特性を示すため、今回の結果は、相関モアレ物理に新展開をもたらすものとなる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2092-4

3

拡散理論の飛躍

Nature 579 2020年3月19日

ブラウン運動は、液体中を拡散する受動的な粒子のランダム運動であり、統計力学におけるよく知られた概念である。この挙動のカギは、流体相が平衡状態にあることである。ホスト相が、例えば遊泳微生物の懸濁液などの、液体ではなく「アクティブな」媒質である場合は、こうした拡散ダイナミクスが変化することが知られている。金澤輝代士(筑波大学ほか)たちは今回、そのような平衡から外れた場合の拡散過程を記述する理論的な枠組みを開発して、観測されている古典的なブラウン運動からのずれを説明している。この枠組みはまた、拡散する受動的な粒子が、系の特定の濃度のアクティブな成分によって駆動されて、長距離レヴィ・フライト(採餌戦略の一部として自然界でも利用されている可能性がある現象)を示す領域の存在を予測する。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2086-2

4

粒界の相変態

Nature 579 2020年3月19日

材料の化学組成は同じままだが温度や圧力が変化すると材料の原子秩序が変わるという固体の相変態は、材料科学ではよく知られている。今回、最先端のシミュレーションと高分解能の透過電子顕微鏡観察とを組み合わせて、純粋な元素銅の内部の粒界(結晶粒間の界面)が温度に誘起されて別の構造への無拡散相変態を起こすことが明らかにされている。相変態後は、複数の粒界が速度論的に捕捉された構造として共存できる。今回の結果は、より広範な材料において粒界の構造と特性を調べたり、粒界が見られる材料のバルク特性を操作したりする機会を開く。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-00765-3

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2082-6

5

中央ステーションを通る自動合成

Nature 579 2020年3月19日

有機合成は、自信を持って行うには数年の経験が必要なことが多く、再現性や一貫性に欠ける科学といえるかもしれないが、有機合成を自動化すれば、そうした工程が簡素化されるだろう。最近の進展によって、合成経路プランニング機能が備わったものも含め、より精巧な自動合成「マシン」が現れている。しかし、実行できる反応はまだ比較的単純であり、直線的な逐次合成しか実現できていない。今回K Gilmoreたちは、工程ごとに中央の切り替えステーションに戻って来る放射状の合成装置を報告している。この方式では直線的合成も収束的合成も可能で、このマシンを用いて合成できる分子の種類が大幅に拡大される。また、この装置は工程を変える際に手作業による介入を必要とせず、経験の浅い化学者でも簡単な反応最適化を行うことができる可能性がある。著者たちは、抗けいれん薬ルフィナミドやその一連の誘導体の合成と、光化学モジュールの追加による金属光酸化還元C–Nクロスカップリングを行うことで、この合成装置の機能を実証している。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-00764-4

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2083-5

6

初期の鳥類

Nature 579 2020年3月19日

新種の化石鳥類Asteriornis maastrichtensisがベルギーの白亜紀末期の地層から出土した。この化石鳥類は現生鳥類と同様の姿をしており、カモ類やニワトリを生じた系統から古くに分岐した分類群に属する。今回の発見は、現生鳥類に似た鳥類が、近縁の恐竜類が絶滅するはるか以前にすでに分岐し始めていたことを示している。他にこれと近い年代でよく知られているクラウン群鳥類は、南極で発見されたVegavis iaaiのみである。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-00766-2

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2096-0

7

ハエに見られる極端な嗅覚特化の神経相関

Nature 579 2020年3月19日

セーシェルショウジョウバエ(Drosophila sechellia)は、より普通に見られるキイロショウジョウバエ(D. melanogaster)に近縁な種である。しかし、ジェネラリストのキイロショウジョウバエと違って、セーシェルショウジョウバエの食性や産卵行動は極端に特化されていて、成熟したヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia;別名ノニ)の果実だけを求める。今回R Bentonたちは、カルシウム画像化から、変異解析、種間遺伝子置換、回路トレーシングまで、さまざまな手法を用いて、この機能的差異の基盤となる分子的・生理的・解剖学的機構を明らかにして、その特徴を示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2073-7

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-00535-1

8

植物組織の定量的アトラス

Nature 579 2020年3月19日

今回B Kusterたちは、モデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の30の組織について、トランスクリプトーム、プロテオーム、リン酸化プロテオームの定量的アトラスを作製したことを報告している。彼らはまた、解析によっていくつかの重要な疑問に対する初めての答えを得ており、公開されているこの貴重な情報資源の有用性を実証するとともに、新たな生物学的洞察についても提示している。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2094-2

9

統合的ストレス応答に役割を果たす新しい因子群

Nature 579 2020年3月19日

哺乳類細胞では、ミトコンドリアの機能不全は統合的ストレス応答(ISR)を開始させ、その結果、eIF2α(eukaryotic translation initiation factor 2α)のリン酸化が増大し、転写と翻訳の調節を介してストレス適応が起こる。しかし、ミトコンドリアストレスを細胞質に伝えて、ISRを引き起こす仕組みは分かっていない。今回2つの研究チームが独立に同じ結論にたどり着いた。M Kampmannたちはゲノム規模のCRISPR干渉スクリーニングを用い、L Jaeたちは一倍体の遺伝的スクリーニングによりこの疑問に取り組んだ。両研究チームの主な知見から、ミトコンドリアストレスに応答してOMA1と呼ばれるミトコンドリアのプロテアーゼが活性化され、これが機能のよく分かっていなかったDELE1と呼ばれるミトコンドリア内膜タンパク質の切断につながることが明らかになった。その結果、DELE1は細胞質ゾルに蓄積できるようになり、DELE1はそこでHRI(haem-regulated inhibitor)と呼ばれる特異的なeIF2αキナーゼと相互作用して、これを活性化する。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2078-2

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2076-4

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-00552-0

10

小胞体で機能するグルコシルトランスフェラーゼの構造

Nature 579 2020年3月19日

N結合型糖鎖付加はタンパク質へのオリゴ糖の付加反応であり、このような糖鎖はタンパク質の機能に影響する。糖はグリコシルトランスフェラーゼにより付加される。今回K Locherたちは、小胞体内で機能するグルコシルトランスフェラーゼALG6の構造を報告している。ALG6は、組み立て途中のオリゴ糖鎖への1つ目のグルコースの付加を触媒する。この酵素は、これまで観察されたことのない膜貫通部分の折りたたみ構造を含んでいることが分かった。この研究によって基質類似体に結合したALG6の構造が機能データと共に得られ、グルコース転移機構を解明するための構造基盤がもたらされた。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2044-z

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