The Nature Top Ten アクセスランキング

Nature アクセスランキングでは、前月nature.comで、最もダウンロードが多かった記事や論文をランキングしています。日本サイトでは、一部日本語要約も掲載しております。ここにおけるランクは、論文・記事の質、科学的重要性、引用回数などを示すものではありません。人気のあったコンテンツをお楽しみください。

1

若い原始星円盤における環状構造

Nature 586 2020年10月8日

原始星円盤の環と間隙は、惑星形成の証拠であると捉えられてきたが、それは果たしてどれくらい初期に始まるのだろうか。今回D Segura-Coxたちは、50万歳に満たない原始星IRS 63の円盤に4つの環状構造を見いだしている。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-02748-w

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2779-6

2

量子力学的起源のインダクタンス

Nature 586 2020年10月8日

インダクターは、電気エネルギーを磁場の形で蓄える回路要素であり、電流が流れるコイルでできている。電流と磁場と誘起電圧の関係は、古典電磁気学、すなわちファラデーの電磁誘導の法則によって記述される。今回、横内智行(理化学研究所)たちは、磁性体におけるスピンらせんの電流駆動ダイナミクスによって誘起された創発電場に基づく、量子力学的起源のインダクタンスについて報告している。観測されたインダクタンスは、電流の非線形性によって増大し、非単調な周波数依存性を示した。インダクタンスの大きさは市販のインダクターと同等だが、デバイスの体積はその約100万分の1である。今回の研究結果によって、単純形状のマイクロスケール・インダクターが実現される可能性がある。

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-02721-7

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2775-x

3

過渡種との反応

Nature 586 2020年10月8日

ベンザインや環状アレンなどの過渡種は、新たな化学反応性を実現できる、潜在的に貴重だがつかの間の機会をもたらすため、非常に興味深い。しかし、こうした過渡性によって、反応性の制御は困難になる。今回N Gargたちは、不斉ニッケル触媒反応を用いることで、環状アレンを捕捉して立体制御を実現した。このニッケル錯体は、ひずんだ中間体の動的な速度論的分割を実行して、エナンチオ選択的に三環式ラクタム生成物を生じる。計算機研究の結果からは、最初に立体選択的オレフィン挿入を通した環状アレンエナンチオマーの速度論的区別が起こり、その結果生じる立体化学情報が喪失して、その後中間体であるπ-アリルニッケル錯体の非対称化を通して絶対立体化学の導入が起こる、という触媒機構が示唆された。今回の反応は特殊だが、示された概念はひずんだ環状分子の触媒的不斉反応をより広く開発する指針となるだろう。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2701-2

4

一酸化二窒素の収支:人為起源の排出の増加

Nature 586 2020年10月8日

一酸化二窒素(N2O)は、100年の時間スケールでの温暖化係数が二酸化炭素(CO2)より約300倍高い長寿命の温室効果ガスで、重要なオゾン層破壊物質でもある。過去50年間の大気へのN2O排出量の増加は、さまざまな人間活動の結果として過去200年間で最も急速になっている。今回H Tianたちは、1980〜2016年に20種類を超える自然起源と人為起源で生じた、全球のN2Oの排出(ソース)と吸収消滅(シンク)をマッピングしている。彼らは、大気中濃度の増加の主な原因は人為的排出であり、肥料の使用による耕作地からの排出が支配的であることを見いだした。懸念されるのは、最近のN2O排出量の増加が、IPCCの最大排出量シナリオ(RCP8.5とSSP3–7.0)を上回っていることである。これは、特に農業セクターにおけるN2O排出の削減の必要性を浮き彫りにしている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2780-0

5

人々を不平等にさらすと富裕層への課税に対する支持が高まる

Nature 586 2020年10月8日

我々は常に自分と他者を比較している。社会的比較というこの習慣を使って、不平等を緩和することは可能なのか。M SandsとD de Ladtは今回、南アフリカの社会経済的地位の低さと関連付けられている複数の地区において、高級車が存在する場合には存在しない場合よりも、人々が富の再分配のための課税を求める請願書に署名する確率が高まることを明らかにしている。地区レベルの分析結果をまとめたところ、不平等への身近な曝露が、経済格差に取り組むための富裕層への課税に対する支持と関連付けられることが示された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2763-1

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-02526-8

6

霊長類の介在ニューロンレパートリーに見られる新機軸

Nature 586 2020年10月8日

今回、霊長類の行動や認知能力が他の動物種と比べて大きく異なることを説明し得る、脳各領域での細胞レベルの違いが調べられている。S McCarrollたちは、単一核RNA塩基配列解読を用いて、ヒト、アカゲザル、コモンマーモセット、マウス、フェレットに由来する計20万個近くの介在ニューロンについて、RNA発現プロファイリングを行った。その結果、相同な介在ニューロンのタイプは、フェレットとマウスと霊長類の間でその数やRNA発現に差異が見られたが、霊長類3種の間ではそうした差異はごくわずかだった。また、コモンマーモセットとヒトの線条体に見られる新規な介在ニューロンなど、霊長類に特異的な特徴も複数見いだされた。霊長類と齧歯類が進化の過程で分岐する中で、遺伝子と細胞タイプの特性がどのように変化し、あるいは保存されてきたのたかを理解することは、モデル動物系の設計や実験結果の解釈についての指針を示し、特にヒトの脳疾患の研究に役立つと考えられる。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2781-z

7

新しい信号は視床下部で経路が決まる

Nature 586 2020年10月8日

海馬は、注意と記憶を適切に増強するために、新しい信号の処理と統合に重要であることは知られている。しかし、特定のタイプの新しい情報がどのようにこの構造に伝達されていくのかはよく分かっていなかった。今回T McHughたちは、処理される刺激のタイプに従って情報を振り分ける視床下部の新奇性刺激情報ハブを新たに発見し、そこから海馬に向かう別個の経路を明らかにしている。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2771-1

8

母体の微生物相は子の神経発生に影響を与える

Nature 586 2020年10月8日

胎仔の神経発生に対して母体の腸の微生物相が担っている潜在的な役割はよく分かっていない。E Hsiaoたちは今回、マウスにおいて、母体の微生物相の除去や選択的な再構築が仔に与える影響を調べている。その結果、微生物相を除去すると胚で視床皮質の軸索の発生異常が引き起こされ、特定の微生物タクソンを定着させると視床皮質の軸索形成が回復することが見いだされた。さらに、in vivoで視床皮質の軸索形成を促進する、母体の微生物相に由来する代謝物の一群が特定された。予備的実験からはまた、成長した仔マウスの体性感覚行動が母体の微生物相の操作による影響を受けることが示唆された。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2745-3

News & Views doi: 10.1038/10.1038/d41586-020-02657-y

9

がんにおけるマイクロサテライト不安定性の巻き戻し

Nature 586 2020年10月8日

マイクロサテライト不安定性(MSI)を有する腫瘍はWRNヘリカーゼの活性に依存的であることから、WRNは治療標的になる可能性がある。A Nussenzweigたちは今回、この脆弱性の機構を調べ、十字架様の二次構造を形成するTA反復配列の伸長を発見した。WRN非存在下では、これがヌクレアーゼによる切断の標的となり、染色体破砕を引き起こす。この結果と一致して、TA反復配列は、MSI腫瘍における脆弱部位や大規模な欠失と関連していた。これらの知見は、累積的な合成致死効果を明らかにしており、がんがゲノム安定性を調節する仕組みや、ゲノム上の傷痕が腫瘍形成を助長する一方、持続的な治療脆弱性も生み出し得る仕組みについての手掛かりをもたらす。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2769-8

10

内皮細胞はSLIT2–ROBOシグナル伝達を介して転移を促進する

Nature 586 2020年10月8日

S Tavazoieたちは今回、複数の転移マウスモデルで、腫瘍と内皮細胞の間の相互作用が転移を促進する新たな機構を明らかにしている。この機構では、腫瘍細胞由来RNAが内皮細胞上のTLR3受容体と相互作用する。この相互作用は軸索ガイダンス分子SLIT2の発現を誘導し、SLIT2は腫瘍細胞でのROBO1シグナル伝達を介して、腫瘍細胞の血管への移動や血管内侵入と転移を促進する。

Article doi: 10.1038/10.1038/s41586-020-2774-y

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