新しい抗炎症物質が見つかった
Nature Medicine
2015年2月17日
New anti-inflammatory compounds identified
NLRP3は免疫系タンパク質の1つで、インフラマソームと呼ばれるタンパク質複合体の構成成分である。インフラマソームは自己免疫疾患、2型糖尿病、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、自己炎症性疾患などの複数の病気に関わり、炎症応答を促進する。今回、2つの研究グループがNLRP3の働きを阻害する化合物を見つけて、それぞれ報告している。
V D Dixitたちは、絶食、激しい運動、カロリー制限や低炭水化物ケト原性食の摂取に応答して体内で生産される代謝産物であるβ-ヒドロキシ酪酸(BHB)にNLRP3を直接阻害する作用があることを明らかにした。in vivoでの生物学的利用能を高めるためにBHBをナノ粒子に封入してから炎症性疾患のマウスモデルに投与すると、血液中のBHBレベルを上昇させるケト原性食を摂取した場合と同じように炎症の症状が軽減した。これらの知見から、絶食、ケト原性食の摂取や激しい運動の際に見られる抗炎症効果の一部は、BHB産生とそれによるNLRP3の阻害を介していると考えられる。
もう1つの研究でL O'NeillとM Cooperたちは、MCC950という薬剤がNLRP3を直接阻害することを報告している。MCC950は、ヒト細胞、あるいは自己免疫疾患や自己炎症性疾患のマウスモデルで、炎症応答の抑制に効果があった。このことは、MCC950がさまざまな炎症性疾患の治療に使える可能性を示している。また、MCC950の抗炎症作用は、インフラマソーム複合体中の感染制御に重要な働きをする成分には影響を与えないことも明らかになった。
doi: 10.1038/nm.3804
注目の論文
-
11月14日
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
11月14日
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
-
11月13日
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
11月11日
加齢:多言語使用は老化の加速を防ぐかもしれないNature Aging
-
11月11日
バイオテクノロジー:超音波がマウスの脳卒中後の脳内残留物を除去するのに役立つNature Biotechnology
-
11月6日
神経科学:時間の経過とともに発達する脳の変化を解明するNature
