注目の論文
がんへの効率のよい薬剤送達に道を開く通路
Nature Medicine
2014年8月18日
Opening the door to cancer drug delivery
齧歯類の細胞にある輸送用の入り口を使えば、血液中から固形がん内部へ抗体などを能動的に運び込めるようになることが報告された。この発見によって、少ない投与量でも腫瘍内部に迅速に浸潤する新しい治療薬や画像化用薬品の開発への道が開かれるかもしれない。
がん研究では、薬剤送達を妨げる障壁を乗り越えるという問題は、あまり研究されてこなかった。固形がんを特異的に標的とするように設計された、いわゆる「スマートドラッグ」も登場しているが、実際には抗がん剤の多くは有害となるのに近い高用量を投与しなければならず、そうやっても腫瘍内部に浸潤するのはごく少量にすぎない。それは、血管を介した受動的な薬剤送達に頼っているためである。
J Schnitzerたちは、腫瘍の画像化とタンパク質の発現プロファイリングを行い、膜結合タンパク質アネキシンA1の切断型が、ヒトと齧歯類の腫瘍の脈管構造にあるカベオラ(輸送小胞)だけに高濃度で存在することを見いだした。そこで、この膜結合タンパク質を標的とする特異抗体を作製したところ、カベオラはこの抗体を血液中から取り込み、さらに血管壁を通過して腫瘍内部へと、濃度勾配に逆らって迅速に輸送することが分かった。
doi: 10.1038/nm.3623
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour