注目の論文
疲弊した免疫細胞の復活
Nature Immunology
2008年12月1日
Reviving exhausted immune cells
免疫系の疲弊が起こる仕組みと、抗ウイルス免疫応答をよみがえらせるための方法の報告が寄せられている。
風邪やインフルエンザなどのウイルス感染が起こると、これが引き金となって免疫系が働き、CD8+T細胞という特殊な「殺し屋(キラー)細胞」がウイルス感染細胞を攻撃して原因ウイルスを破壊するので、患者は数日で回復するのが普通である。しかし、肝炎ウイルスやHIVのような一部のウイルスの持続感染の場合には、免疫系が感染をうまく排除できない。
J Wherryたちは、このような免疫系の無応答の原因を調べ、慢性感染によってマウスのキラー細胞が複数の「阻害性受容体」を発現するようになり、攻撃力が失われることを発見した。これらの受容体の発現は無秩序ではなく一定の順序で起こり、重篤な感染ほど、より多様な阻害性受容体群の発現を促す。複数の「阻害性受容体」を阻害すると、CD8+T細胞の細胞障害活性を回復することができた。
さらに研究を続けて、ヒトの慢性感染でも阻害性受容体の阻害で疲弊したT細胞を再び活性化できるかどうかを明らかにしたい、とWherryたちは考えている。
doi: 10.1038/ni.1679
注目の論文
-
5月29日
社会科学:研究テーマの変更は被引用数の減少につながるかもしれないNature
-
5月28日
古生物学:クジラの骨から作られた最古の道具の証拠Nature Communications
-
5月27日
生態学:世界的に過小評価されている外来種のコストNature Ecology & Evolution
-
5月22日
微生物学:効果的な新しい抗マラリア薬は寄生生物を標的とするNature
-
5月21日
医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出Nature Communications
-
5月20日
人工知能:大規模な言語モデルは、オンライン討論において人間よりも説得力を持つことができるNature Human Behaviour