注目の論文
腫瘍の変異を解き明かす
Nature Methods
2013年9月16日
Making sense of tumor mutations
ヒトの腫瘍を変異に基づいて有益なサブタイプに分類する方法が、今週オンライン版で発表される。
がんは単一の疾患ではなく、多数の疾患が発現したものである。がんゲノムの塩基配列を明らかにする最近の研究は、ヒト腫瘍の体細胞変異(同一個人の健常組織にはなく腫瘍のみに存在する変異)に関して大量の情報を生み出している。腫瘍の根本にある生物学的性質に関する洞察をもたらしたり、疾患の経過に関して有用な予測を行うのに役立ったりするようなサブタイプに腫瘍を分類する目的で、その情報の利用を可能とする方法が求められている。
しかし、腫瘍の変異の特性はきわめて多様である場合が多い。ごく類似した疾患の患者が共有する体細胞変異が1つあるかないかである場合もあるため、変異データを利用することによって有益な情報を与える形で腫瘍を分類することはきわめて困難である。
今回Trey Idekerたちは、ヒト細胞のネットワーク構造の情報がその目的で利用可能であることを明らかにした。研究チームは、腫瘍が特定の変異を共有していない場合でも、ネットワーク中の影響を受ける部分が共通している場合があることを説明している。ヒトの卵巣、子宮、および肺の腫瘍の体細胞変異特性を、公開されているソースからのネットワーク情報と組み合わせることにより、ネットワークに基づく層別化で腫瘍のサブタイプが特定されて、患者の生存率および治療応答性が予測されることが明らかにされた。
doi: 10.1038/nmeth.2651
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