注目の論文
アルツハイマー病の女性特異的な遺伝的危険因子
Nature Genetics
2009年1月12日
Female-specific genetic risk factor for Alzheimer’s disease
女性の場合、X染色体上の1つの遺伝子多型が、アルツハイマー病の高い発症リスクと特異的に関連していることを報告する論文が、Nature Genetics(電子版)に掲載される。これは、アルツハイマー病の性特異的な遺伝的危険因子の存在を示す初めての証拠である。
遅発性アルツハイマー病は、神経変性疾患の一種で、高齢者における認知症の最大の原因である。この病気の既知の遺伝的危険因子として、唯一、一貫した再現性が得られているのが、APOE遺伝子の多型である。今回、メイヨークリニック医科大学(米国フロリダ州ジャクソンビル)のS Younkinらは、アルツハイマー病患者を対象とした全ゲノム関連解析を行い、アルツハイマー病感受性と高度な統計的有意性で関連するPCDH11X遺伝子の1つの多型を同定した。そして性別に関するデータを解析したところ、この関連性が認められるのが、ほぼすべて女性のケースであることが判明した。PCDH11X遺伝子には、プロトカドヘリンというタンパク質がコードされており、このタンパク質は、細胞間接着と中枢神経系におけるシグナル伝達を促進する分子ファミリーに属している。なお、別の研究では、プロトカドヘリンが、早発性アルツハイマー病に関連する酵素によって分解されて活性型になることを示唆する証拠も見つかっている。
doi: 10.1038/ng.305
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